16日に菅義偉新政権が発足したことで、次の焦点は近い時期での解散総選挙に踏み切るかに移っている。株式市場でも既に解散風が吹き始め、関係者の間では株式相場の上昇につながるとの期待感が広がり始めた。
早期の解散総選挙なら、日経平均は2万5000円を超える可能性=BofAセキュリティーズ
BofAセキュリティーズは16日付のリポートで、菅新政権の発足を踏まえて「3つの潜在要因が短期的に日本株にポジティブ」とし、日本株に上昇余地があるとの見解を示した。具体的には、①解散総選挙の可能性、②市場は最も割安と見なす日本株をアンダーウエート、③菅内閣の改革志向――だという。その上でTOPIXと日経平均株価の年末目標を1500→1700、2万1000→2万4000円に引き上げた。
なお、解散総選挙のタイミングとしては①10月、②2020年末か2021年初(2012年12月、2014年12月のパターン)、③2021年春の予算成立後――の3つを挙げた。早期の解散総選挙のシナリオでは、短期的に日経平均は2万5000円を超え、上振れる可能性があるとみていた。
「解散・総選挙はやや遅れる可能性、自民圧勝なら株価急上昇」=SMBC日興
SMBC日興証券の牧野潤一氏は「早くて12月」と「やや遅れる可能性がある」とみている。菅首相は新型コロナウイルス感染収束と経済立て直しの取り組みを最優先する考えを示しており、解散・総選挙は、コロナ対策で期限切れとなる政策の延長や第3次補正予算を編成の後となる可能性があるためだ。そのため「早くて12月、または来年1月下旬の通常国会冒頭、遅くとも3月末に見込まれる21年度予算成立直後」になると言う。
安倍政権下での最後の内閣支持率(共同通信)は56.9ポイントとなり、前回から20.9ポイントも上昇した。もし、菅政権が高支持率を維持し、野党・立憲民主党の支持率が低迷していれば、自民党圧勝の可能性もある。牧野氏は「自民党圧勝なら株価急上昇も有り得る」と述べていた。(QUICK Market Eyes 池谷 信久、片平 正二)