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パーク24株に買い殺到、黒字転換だけじゃない評価材料とは

【日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一】12月16日の東京株式市場で駐車場事業を手掛けるパーク24(4666)が大幅高となった。15日に発表した20年12月期連結決算短信で、今期の黒字転換と復配の見通しを示したことが好感された。さらに大きな要因は、劣後ローンでの資金調達だ。多額の赤字による財務悪化を補う手段として、資本性のある借入金を選択。同様に資本が大きく毀損する分を、発行済み株式数が増え1株利益が希薄化する公募増資で賄ったJAL(9201)やANAHD(9202)などとは、その後の株価推移で明暗を分けた。

■劣後ローンでの資金調達

16日のパーク24株は前日に比べ222円(13%)高の1928円まで買われる場面があった。15日に発表した前期の連結最終損益は、コロナ禍による駐車場利用の減少や海外子会社ののれん代の減損損失計上などで466億円の赤字に沈んだものの、今期は50億円の最終黒字に転換する見通し。前期は無配とした年間配当予想については、今期は1株当たり5円復配する目標だ。

※パーク24株価と日経平均株価の相対チャート
※パーク24株価と日経平均株価の相対チャート。(2019年末を100として指数化)

※パーク24の業績
※パーク24の業績(21年10月期は会社予想)参照

アナリスト予想の平均であるQUICKコンセンサス(12月14日時点、9社)の今期最終黒字は94億円。会社予想にはやや物足りなさが残るなかで、きょうの大幅高を演出したもう1つの理由が劣後ローンでの500億円の資金調達だ。

最終赤字を466億円計上したため、前期末(2020年10月末)のパーク24の連結自己資本比率は10.5%と、19年10月末の30.8%から大幅に低下した。今回の劣後ローンは格付け会社から調達額の50%が資本と認められるため、16%台まで回復する見通しだ。

SMBC日興証券の担当アナリスト、田沢淳一氏は15日付のリポートで、今後も必要に応じ劣後ローンなどを活用する方針を示したことも踏まえ、「エクイティファイナンス(=新株発行を伴う資金調達)による希薄化リスクは後退したとみており、株価へのポジティブな反応を予想する」と指摘。黒字転換と1株当たり5円の復配方針を決めたことも「利益回復と株主還元への経営陣の強い意思表示と評価したい」とコメントした。

■増資には戦略が不可欠

1株利益の希薄化という話で思い出されるのが、11月に国内で航空大手2社が相次いで踏み切った増資だ。11月以降、ワクチン普及期待で、米国のアメリカン航空(AAL)が51%高、デルタ航空(DAL)が37%高となる一方、JAL(9201)は8%高、ANAHDは小幅下落だ。経済正常化期待があっても、増資によって発行済み株式数が膨らみ、株価の上値を抑えている。

※
※米アメリカン航空、米デルタ航空、JAL、ANAHD株価の相対チャート。(2020年10月末を100として指数化)

希薄化リスクが伴う増資にあたっては、調達した資金による業績回復や成長戦略、さらに株主還元なども含めた戦略(エクイティストーリー)が不可欠だ。しかし、観光需要支援策「Go To トラベル」の一時停止など、航空各社の事業環境にはいまだ不透明感が漂い、力強い回復軌道は見えづらい。

「来年に向け、コロナ禍からの業績回復が株価にまだ織り込まれていない銘柄を探しているが、もちろん増資の可能性が低そうな銘柄を選ぶ」(ある国内運用会社の株式担当者)。パーク24の業績先行きに不安は残るが、不意の増資に見舞われる怖さが和らいだことは投資家には好印象だろう。

<金融用語>

劣後ローンとは

劣後ローンとは、銀行からの借入による通常のローンよりも株式に近く、資本性が強い借入金のこと。劣後特約付ローン、ハイブリッドローンともいう。 会計上は負債となり自己資本には算入できないが、格付け会社の評価によって資金調達額の一定割合が資本と認められるため、株式希薄化なしに、財務体質を強化できる点がメリットとされる。

著者名

日経QUICKニュース(NQN) 矢内 純一


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