【NQNニューヨーク=川内資子】米ネット証券のロビンフッド・マーケッツは1日、ベンチャー・キャピタル(VC)6社から34億ドルの資金を調達したと発表した。このほか、金融機関が設定した5億~6億ドル規模の与信枠を利用したとも報じられており、28日以降で合計40億ドル程度を調達した。個人顧客の急増に対応、「我々のサービスを改善し、より多くの人に金融システムへのアクセスを提供する」と狙いを説明した。
34億ドルの資金調達はシリコンバレーに本拠を置くVCのリビット・キャピタルが主導し、同社やアイコニック・キャピタル、セコイアなど合計6社が参加した。借り入れか増資かなど、調達手法などの詳細は明らかにしていない。
米国では個人投資家が交流サイト(SNS)を使って連携し、一部銘柄の投機的な買いを仕掛ける動きが広がっていた。米国では株式は注文の2日後に決済する。この間、証券会社は買い注文が確実に履行できるようにクリアリングハウス(清算機関)に預託金を預ける義務がある。預託金は相場変動や売買高で変動する。前週は個人の買い注文が膨らみ、求められる預託金が膨らんでいた。
ロビンフッドは必要な預託金を確保できず、28日にゲーム専門店のゲームストップ株など売買が急増した一部銘柄の新規買い注文を停止した。同社のブラド・テネフ最高経営責任者(CEO)は31日、「28日に清算機関から求められた預託金は30億ドルに達し、通常より1桁多かった」と説明した。与信枠の活用で資金を確保し、29日に一部銘柄の取引制限を緩和したが、今後も取引を継続するために潤沢な資金を確保する必要があった。
28日の取引制限では対象となった銘柄は急落し、ロビンフッドは個人投資家や政治家から厳しく批判されていた。米証券取引委員会(SEC)も29日、「特定銘柄の取引を妨げた行動について詳しく調査する」と発表していた。
一方、FOXビジネステレビは1日、「ロビンフッド・マーケッツは今年予定していた新規株式公開(IPO)を保留にすることを検討している」と報じた。個人投資家の取引による一部銘柄の乱高下問題に注力するためという。