【QUICK Market Eyes 片平正二、大野弘貴】日経平均株価が30年半ぶりに3万円の大台に乗せるなど歴史的な株高局面にある。日本株に限らず米株も主要指数は依然として過去最高値圏にある。投資家のリスク選好マインドは強いままだが落とし穴はないのか。リスクシナリオを確認しておきたい。
■最大のテールリスクはワクチンの遅れ、テーパータントラム=BofAセキュリティーズ
世界同時株高の流れが続く中、BofAセキュリティーズは16日付のリポートで、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)の2月のファンドマネジャー調査のサマリーで「気になる唯一の理由は、機関投資家の間に弱気心理が見当たらないことだ。今月の調査によると、世界の景気見通しは調査開始以来で最も強気、V字回復の見方も遂にコンセンサスになった」との見解を示した。調査対象期間は5~11日。
リポートでは、平均キャッシュ比率が「テーパータントラム」の発生直前の2013年3月以降で最も低い3.8%まで低下したとしながら、株式とコモディティの資産配分の合計は2011年2月以来の高い水準に達したと指摘。ポートフォリオのリスク水準が「通常より高い」という回答比率も過去最高を記録したといい、投資家が強気の資産配分を行っていることがうかがえた。
また、最大のテールリスクは何かと尋ねたところ、「ワクチン供給の遅れ」の回答が28%で最も多かった一方、2位は「テーパータントラム」(25%)、3位が「インフレ」(24%)だったという。
■長期債ファンドからの流出加速で金利が大幅に上昇する可能性に注意=三菱モルガン証
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は16日付のクオンツリポートで「年始以降も株式ファンドへは大幅な資金流入。まだ高水準の待機資金・米国長期債ファンドからの資金流出も継続している」との見解を示した。米長期金利が上昇する中で米株が堅調な展開となっているが、株式市場の需給動向に関して「長期的な傾向として1月から3月に強い流入が見られることから、年明け以降も強い資金流入が期待できる」としながら、「昨年11月以降は米国長期債ファンドからの資金流出が継続していることも確認できる。以上のことから、一連の動きは待機資金から株式への流入だけではなく、債券から株式へのシフトのような長期投資家のアロケーション変更もあると考えらえる」と指摘。株式市場への資金流入が期待される反面、「長期債ファンドからの資金流出が加速するなど需給的な側面によって長期金利が大幅に上昇する可能性にも注意しておきたい」とし、今後は長期金利の上昇を警戒していた。