インデックス型(指数連動型)運用で資産形成に取り組む個人投資家が集う「インデックス投資ナイト2021スピンオフ企画」が7月3日夜に開催された。昨年はコロナ禍で開催を見送っていたが、今年は初めて無観客のオンラインで開いた。主催者であるイベントハウス型飲食店「東京カルチャーカルチャー」(運営はイッツコム)に出演者が集まり、全国から約300人が視聴した。
■肝の据わった女性投資家たち
約2時間半にわたる内容は4部構成。第1部の「女性投資家座談会」には浴衣姿の4人が登壇し、投資を始めたきっかけや仕事と子育て、資産運用をどう両立しているかなどを「肝の据わった」女性目線で語った。コロナ禍での相場下落の際にどう行動したかという質問では、おぱる氏が「在宅勤務への切り替えで忙しく、月々自動的に購入しているだけで過ぎた」と回答。Masami氏は「インデックス投資を始めてから初めての『〇〇ショック』だった。下がったら多く買えると思って相場の底を探っていたら、気づいた時には上昇していた」と振り返った。
仕事・家事・子育てと資産運用の両立についての質問では、ももんが氏が「基本的にほったらかし投資。(相場が)下がった時に粛々と買えるのが積み立て投資の良さ」と語り、同じくほったらかし投資している、はる氏も「時短家電やネット通販を利用したりして仕事や子育てなどと両立している」とした。
第2部では、2022年4月に予定されている東証の市場再編に関連し、その概要や東証株価指数(TOPIX)などの指数がどのように変わるかを整理。月刊投資信託事情編集長の島田知保氏と三菱UFJ国際投信常務取締役の代田秀雄氏の二人が登壇し、再編によるTOPIXのインデックス運用や個人投資家への影響を議論した。
■安易な「FIRE」に注意
第3部の議題は、日本でも取り上げられるようになってきた「FIRE(Financial Independence,Retire Early、経済的に自立し早期退職を果たす)」について。幸せな人生を送るために何を目標として投資を続けるか、何が大切かについて4人の登壇者が意見を交えた。山崎元氏は「FIREを求めて生活を切り詰めすぎると、自分という人的資本への投資が過少になる可能性があり、将来稼げる額も変わってくる。社会的に人と関わることで生まれる幸福感も大切にしてほしい」と警鐘を鳴らした。
吊られた男氏は「本当にやりたいことがあるなら早期退職もいい」としつつ、「早くリタイアすればその分先も長い。生活費ややりたいことが変わるかもしれないと想定して人生設計することが必要だ」とした。NightWalker氏は「FIREは誰にでも安易に勧められるものではない。仕事を辞めた後に何をするかが大事」と述べた。FI(経済的自立)を達成しながら現在も働くWATANKO氏は「RE(早期退職)は人それぞれ。ただFIを達成したことで、仕事であくせく昇進を目指すモチベーションがいい意味でなくなり、毎日会社に行くのが楽になった。会社で必要とされなくなるまでは辞めない」と実体験を語った。
第4部は毎年恒例の懇親会の代わりに用意された「なんでも聞いてみよう」のコーナー。チャットで寄せられた質問に出演者が回答していった。質問は「資産の取り崩しでよく耳にする『4%ルール』は期待リターンが下がっても合理的か」、「低コストファンドが増えたが、同指数連動型で運用差があるのはなぜか」などの質問に加え、「どんなセカンドキャリアを考えているか」、「自分への人的投資は何をしているか」、「定期的な運動をしているか」など出演者に関するものも多かった。「高級腕時計を買いたいが、妻をどう説得すればよいか」という質問には、WATANKO氏が「奥様に同じ金額のお小遣いをあげてください」と回答し、拍手が起こった。
■2022年は会場で
イベントは初のオンライン開催ながら、視聴者や質問も多く盛況のうちに幕を閉じた。インデックス投資ナイト実行委員長のセロン氏は、「昨年はコロナで中止となってしまったため、今回はどうにかして開催したいという強い気持ちで臨んだ」とコメント。「今回はオンライン配信ということで、チャット機能を使いながら視聴者とのコミュニケーションを取った。会場でのイベントでは細かい質問を拾うのが難しかったので、こうした取り組みは新鮮だった。コロナ禍特有の対応事項も多く、準備にはかなり気を使ったが、無事に開催できてほっとしている」とした。イベント終了時には、「来年こそは会場に人を入れてインデックス投資ナイト2022を迎えたい」と締めくくった。
◇第1部出演者
・おぱる氏(ブログ:インデックス投資女子 Around40 Happy Life)
・Masami氏(ブログ:ほんのひとさじ ゆるゆる過ごす日々と投資の記録)
・ももんが氏(ブログ:ももんがさんちの猫)
・はる氏(ブログ:共働く母の家計管理と資産運用)
・NightWalker氏(司会/ブログ:NightWalker‘s Investment Blog)
◇第2部出演者
・島田知保氏(月刊投資信託事情編集長)
・代田秀雄氏(三菱UFJ国際投信常務取締役)
・セロン氏(司会/ブログ:22歳からの貯蓄学)
◇第3部出演者
・山崎元氏(経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員)
・吊られた男氏(ブログ:吊られた男の投資ブログ)
・NightWalker氏(ブログ:NightWalker‘s Investment Blog)
・WATANKO氏(ブログ:資産運用でスーパーカーを手に入れよう!/今年6月で更新終了)
・カン・チュンド氏(司会/投資信託クリニック)