国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託=ETF、DC・ラップ・SMA専用を除く)を対象に、2022年度(22年4月~23年3月)の資金流出入額をランキングしたところ、流入額1位~4位には先進国をはじめとする海外の株式で運用するインデックス型(指数連動型)が顔を並べた。
■先進国株式型に資金流入
投資対象の資産別(QUICK独自の分類)でみると、海外の株式で運用するタイプに多くの資金が集まった。特に米国をはじめとする先進国株式型に資金が流入した。また、国内外の不動産投資信託(REIT)型にも資金が流入した。一方、複数の資産に分散して投資するバランス型からは資金が流出した。
■「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が首位
個別銘柄でみると、資金流入額が最も大きかったのは、三菱UFJ国際投信が運用する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」で7312億円の資金が流入した。同シリーズの「全世界株式(オール・カントリー)」も2位に入った。「eMAXIS Slim」シリーズは、業界最低水準の運用コストを目指すとし、4月25日から信託報酬を引き下げる予定。
3位と4位は 「楽天・全米株式インデックス・ファンド<愛称:楽天・VTI>」、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド<愛称:SBI・V・S&P500>」と、主にネット証券経由で積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)を利用した資金流入が継続しているファンドが並んだ。
昨年度、資金流入額が1兆円超と断トツだった「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は6位に後退した。一方、インベスコ・アセット・マネジメントが運用するアクティブ型ファンドの「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<愛称:世界のベスト>」が圏外から5位に躍進した。3月末時点の1年リターンは12.68%。3月23日の決算では1万口あたり150円の分配金を支払っている。
7位~9位には「ダイワJ-REITオープン(毎月分配型)」など、昨年度は圏外だったREIT型が入った。
■過去の人気銘柄からの資金流出目立つ
一方、資金流出額の上位には、過去に人気が高かったファンドが目立った。最も大きかったのは、東京海上アセットマネジメントが運用する「東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)<愛称:円奏会>」で842億円の流出だった。国内債券や株式、REITに分散して投資するバランス型。国内債券の比率が高く、かつては安定志向の投資家からの人気が高かったが、新型コロナウイルスショック以降は運用成績が伸び悩み、20年7月以降資金流出が続いている。決算頻度が異なる「年1回決算型」も流出10位だった。
資金流出額2位はアセットマネジメントOneの「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>」だった。その他、三井住友DSアセットマネジメントの「イノベーティブ・カーボンニュートラル戦略ファンド」や、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントが運用する「GSフューチャー・テクノロジー・リーダーズ Bコース(為替ヘッジなし)<愛称:nextWIN>」など、かつて人気を集めたテーマ型ファンドからの資金流出が目立った。