国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託=ETF=を除く)のうち、主にインド株を投資対象とするファンドが資金流出に転じた。QUICK資産運用研究所の推計によると、11月は150億円の流出超過(図表1)。インド株投信の資金流出超は、2022年9月以来2年2カ月ぶりとなる。
インドは人口増加や高い経済成長率を背景に日本の個人投資家らの関心が高まり、対面主体の金融機関とネット証券の両方で販売が伸びていた。過去2年間は月間の資金流入額が1500億円を超えることが何度もあり、24年6月には約2400億円まで膨らんだ。その後は流入ペースが鈍り、11月は資金流出となった。
資金流入鈍化の背景には、インド株の調整があると考えられる。インドの代表的な株価指数のSENSEXとニフティ50は9月下旬にそれぞれ過去最高値をつけた後、11月にはそこからの下落率が「調整局面入り」の目安となる10%を超える場面があった。インドの新興財閥であるアダニ・グループを巡る贈収賄疑惑などが響き、リスク回避ムードが強まっている。こうした流れのなかで、日本でもインド株投信の購入が減少し、ひとまず利益を確定させるための解約が増加した可能性がある。
もっとも、現時点では大規模な資金流出には発展していない。インド株投信の純資産総額(残高)上位10本を個別にみると、11月は資金流出になったファンドでも多くて数十億円の流出超にとどまっている(図表2)。一部はわずかながら流入超を維持した。年初来では資金流入超となっているファンドが多い。