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2024年の米国株を振り返る!ナスダック総合は年初から31%上昇、相場を動かしたのは、金融政策、エヌビディア、米大統領選

記事公開日 2024/12/31 11:00 最終更新日 2024/12/31 11:00 経済・ビジネス コラム・インタビュー 金融コラム

【QUICK Money World 辰巳 華世】2024年も終わりが近づいてきました。今年の日本株・米国株・為替・金利マーケットを振り返る記事を配信しています。今回は米株マーケットを振り返ります。第一弾では、日本株マーケットの振り返りを配信しました。

24年はNISA(小額投資非課税制度)が新制度に移行したこともあり、個人投資家の投資熱が高まりました。つみたてNISAを利用しS&P500種株価指数に連動する投資信託や資産の60%が米株となるオルカンと呼ばれるSlim 全世界株式(オール・カントリー)の投資信託などに投資している人が増えており、米株相場への関心が高まっています。また、日本株の動きは米株次第な側面が大きいので投資家にとって米株の動きを把握することは必須です。

投資初心者にとって過去を振り返り、その時々の材料がマーケットをどう動かしたのかを確認することは今後の投資活動にとても役立ちます。過去の事例を積み上げ、今後の自分の投資活動に活かしていきましょう。

24年の米株相場は、8月に米国景気減速懸念から一時大きく調整しましたが、その後は持ち直し、1年を通して見れば大きく上昇した堅調な相場展開となりました。米国の代表的な株価指数である「ナスダック総合株価指数」、「S&P500種株価指数」、「ダウ工業株30種平均」ともに、その時々で新高値を更新しながら右肩上がりで上昇した1年でした。1月2日の始値から12月20日の終値までナスダック総合は31.5%、S&P500は24.9%、ダウ平均は14%上昇しています。

ナスダック総合・S&P500・ダウ平均のチャート <2024年1月2日〜12月20日>
ナスダック総合・S&P500・ダウ平均のチャート

24年の米株相場を振り返ると、3つのキーワードが相場を大きく動かしました。

・米国景気と金融政策

・エヌビディア

・米大統領選挙

それぞれのキーワードをベースに24年の米国株を振り返ります。

米国景気と金融政策

24年の米国市場では、米連邦準備理事会(FRB)の利下げのタイミングに注目が集まりました。これまでの大幅利上げにより景気抑制効果がでてきた米国経済に対してインフレ動向を見極める1年になりました。特に年前半は一つ一つの経済指標に敏感に反応する展開となりました。市場では、その時々に発表される経済指標をベースにFRBの早期利下げ観測が高まったり、後退したりして相場を動かしました。24年1~3月期の米国市場では、FRBの早期利下げ観測が後退しました。これまでの大幅利上げによる景気抑制効果で景気は緩やかに減速する見通しでした。金利と株価の関係は、教科書的には「利下げ(金利低下)・株高」です。利下げ観測の「後退」は、株価にとってネガティブなものの、当時の米国景気は、雇用や個人消費が堅調で、企業業績も好調だったこともあり、ハイテク株を中心とした業績改善期待から株価は上昇しました。年初の始値から3月31日の終値までナスダック総合は10.1%、S&P500は10.7%、ダウ平均は5.9%上昇しました。

4月に入ると米株相場はいったん調整します。4月に発表された3月の米雇用統計や同消費者物価指数(CPI)など経済指標が根強いインフレを示唆する結果となり、FRBの利下げに転じる時期が見通しにくくなったためです。

根強いインフレの沈静化に時間がかかる見通しはありましたが、その後、夏前にかけて5月の米CPIの上昇率が市場予想を下回るなどインフレの鈍化を示す材料が出始めます。市場では、FRBが9月にも利下げを実施し、米景気がソフトランディング(軟着陸)するとの見通しが広がり株高へ繋がりました。

 

24年の米株相場を振り返ると、経済指標の結果に一喜一憂する相場展開でした。特に8月はそれが顕著となりました。

8月に発表された7月の米雇用統計が市場予想より悪かったことで米景気が想定以上に悪化するとの懸念が広がりました。その日、ダウ平均は1000ドル以上下落、ナスダック総合も大幅安となりました。米株の急落は、世界的な株安に繋がり、日本でも下げ幅が過去最大となるパニック的な急落に見舞われました。ただ、その後米国では経済の底堅さを示す経済指標の発表が相次いだほか、FRBのパウエル議長が9月の利下げ開始を示唆したことで相場は急回復し8月のダウ平均は最高値を更新しました。

9月にはFRBが4年半ぶりの利下げを実施しました。今後も利下げが続く見通しに加え、米景気がソフトランディング(軟着陸)できるとの見方から株価は上昇しました。

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エヌビディアなど生成AI関連

24年の米株相場をけん引したのは、AI半導体メーカーのエヌビディアです。エヌビディアは、生成AIに欠かせないAI半導体を開発・製造しています。エヌビディアが開発・製造する画像処理半導体であるGPUの世界シェアは約8割ともいわれています。

24年のエヌビディア・ナスダック総合チャート
24年のエヌビディア・ナスダック総合チャート

上のチャートは24年のエヌビディアの株価とナスダック総合の動きです。エヌビディアの株価の上下がナスダック総合と似通っており、米株相場がエヌビディアの動き次第だったことがよく分かります。業績拡大とともに上昇を続けるエヌビディアの株価は年初から11月に付けた高値まで約3倍に上昇しました。エヌビディアはこれまでも株式分割を繰り返し、個人投資家が買いやすい水準に株価を引き下げてきましたが、5月にも1対10の分割を発表しました。これで人気が加速し、6月にエヌビディアの時価総額は一時、マイクロソフトやアップルを抜いて首位となりました。

世界で一番大きな企業となったエヌビディアは、下落する時のインパクトも半端じゃありません。9月3日の米株式市場では、エヌビディア株が急落し、時価総額が約2830億ドル、日本円にして約41兆1000億円減少しました。

11月の米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利して以降、トランプ・ラリーで米株相場は上昇し続けました。エヌビディアは、ダウ平均の構成銘柄に11月8日に採用されると、終値ベースの高値(148.88ドル)を付けました。ただ、その後のエヌビディア株価は上値の重い展開となっています。12月に入ると中国の国家市場監督管理総局が独占禁止法などの疑いでエヌビディアの調査を始めるなど、半導体を巡る米中対立がさらに強まり、中国向け事業に影響する懸念などが広がっています。

 

米大統領選挙

11月以降の米株相場では、米大統領選がそれまで以上に相場を大きく動かしました。米大統領選では、民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領の激しい争いが繰り広げられ、直前まで緊張感が高まりました。結果はトランプ氏が圧勝となり、大統領選後の米株相場は「トランプ・トレード」で株価は上昇を続けました。12月に入っても株価の上昇は続き、S&P500、ナスダック総合は最高値を更新しました。

24年の米株マーケットを振り返ると、その時々で米景気と金融政策の行方、エヌビディア、米大統領選が相場を動かしてきたことが分かります。12月の米株マーケットでは、米景気と金融政策の行方が再び注目されています。FRBは、18日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場予想通り0.25%の利下げを決定しました。あわせて公表したFOMC参加者の政策金利見通し(ドットチャート)は中央値で25年に0.25%の利下げ2回を示す水準でした。前回9月時点の4回から半減しており、25年の利下げペースが鈍化する見通しです。米国市場では、金利高止まりの警戒感から売りが広がり、米株相場は急落しました。

まとめ

24年の米株相場は、8月に米国景気減速懸念から一時大きく調整しましたが、その後は持ち直し、1年を通して見れば大きく上昇した堅調な相場展開となりました。25年1月にトランプ氏が大統領に就任し、トランプ政権が誕生します。25年の相場も引き続き、トランプ政権、金融政策、AI半導体のエヌビディアの動向が注目されます。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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