QUICKは国内上場企業の2期先までの業績予想を提供する「QUICK Forecast 企業業績」のサービスを始めた。3月期決算企業の多くは2019年3月期の業績予想を開示しているが、このツールを使うと、20年3月期の予想値もはじき出せる。企業収益の方向性を探るのに便利だ。
QUICK Forecastの予想値はQUICKの業績・財務データや日本経済新聞社の「日経NEEDS」のデータベースをもとに、アナリスト予想の平均値であるQUICKコンセンサスを加味して算出。マクロ指標なども統計的手法で分析し、反映させている。このため、会社側が示す予想やアナリスト予想の数値と必ずしも一致しない。
たとえば、ファナック(6954)。同社が4月下旬に発表した2019年3月期の業績見通しによると、連結純利益は前期比24%減の1377億円となる見通し。しかし、QUICK Forecastでみると19年3月期の純利益は1690億円と7%の減益にとどまるようだ。QUICKコンセンサスの1760億円(5月29日時点)は下回るが、会社予想を上回る水準だ。
※19年3月期と20年3月期の棒グラフは水色が会社予想、薄い青色がQUICK Forecast予想。単位100万円
ファナックは20年3月期の見通しを出していないが、QUICK Forecastでは純利益が1930億円になると予想されており、QUICKコンセンサス(1866億円)を上回る。統計的な手法を加えてみると、今期は市場予想に届かないが、来期は予想以上に利益が伸びるというわけだ。
今期減益のソニーは再び最高益を更新できるか
18年3月期に20年ぶりに営業利益が最高を更新したソニー(6758)。19年3月期の営業利益は前期比9%減の6700億円の計画を立てているが、QUICK Forecastでは7%減の6820億円となる。アナリスト予想によると、20年3月期の営業利益は7773億円(5月29日時点)と再び最高を記録するが、QUICK Forecastは3%増の7030億円と控えめな予想を示す。
QUICK Forecastは全上場企業約3700社のうち、必要なデータがそろわない一部の銘柄を除き、ほぼすべての銘柄をカバーしている。決算や業績予想の修正などに対応し、タイムリーに予想値を算出することができる。現在はβ版として提供しており、サービス内容は適宜、改善・更新される。QUICKの情報端末の「ナレッジ特設サイト」ではこのほかさまざまな決算情報のコンテンツツールを提供している。
(QUICKナレッジコンテンツグループ 伊藤央峻)