米政府の一部閉鎖が23日で33日目を迎えた。この日に米民主党のナンシー・ペロシ下院議長はトランプ大統領宛ての書簡で、29日に予定されていた一般教書演説(SOTU)を拒否する考えを伝えた。ペロシ氏はこれまでセキュリティを理由にトランプ氏に延期を求めていたが、演説は連邦政府の閉鎖が解除されるまで延期すべきだと改めて主張したもの。一方、トランプ氏はペロシ氏への書簡で演説を予定通り実施する意向を示しており、国境の壁の予算を巡ってトランプ大統領と議会民主党の対立が続いている。
各メディアによると、選挙集会形式のイベントや、上院本会議場や大統領執務室での演説、メキシコ国境への訪問といった案が検討されているというが、議会でのSOTUが中止されれば1913年に当時のウィルソン大統領が現在の形式で再開させて以来、初めてとなる異例の事態となる。
保守的な数字が出ることで知られるラスムッセンの世論調査によると、23日時点でトランプ大統領に「強く反対する」との比率は47%と高止まりしたが、「強く支持する」の比率は33%で3割台を維持した。米政府閉鎖に伴う景気への悪影響が警戒されているが、今のところトランプ氏の岩盤支持層が政府の一部閉鎖に対してそれほど不満を高めていない状況とみられる。トランプ大統領はこの日にツイッターで「壁を構築すれば犯罪は減るだろう!(BUILD A WALL & CRIME WILL FALL!)。これは共和党の今後2年間の新しいテーマです。これを使って請願しよう!」とつぶやいた。うまく韻を踏んでみせ、「偉大な米国を再び」(MAGA=MAKE AMERICA GREAT AGAIN!)に替わるキャッチフレーズをみつけたようで政府閉鎖の長期化を気にする様子は見られなかった。(片平正ニ)
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