「チャンスがあったら、ウチのマークを見つけてみてください」。化粧品や食品などの様々な容器を提供する浅草の老舗、竹本容器の戸田琢哉取締役は机にあった容器をひっくり返し、竹を表した小さなマークを示してくれた。「数千にも及ぶ顧客の要望に応じて作る技術は、どこにも負けない」(同)と自社の製品に絶対の自信を持っているという。
トレーサビリティの観点で容器に付けているマークは各社ごとで異なる。目立たないところに刻印されているため、業界人でなければ気づかない。「スーパーに置いてあるナショナルブランドの商品に、当社のマークはないと思います。あるとすれば、セレクトショップや専門店で売られている容器などですかね」(同)。
そんな竹本容器が、2016年の株主優待品に選んだのは、新規開発したオリジナル容器2個。ソフトボールを斜めにカットしたような形状だ。自慢の技術を駆使し、1つは豪華な金、もう1つはメタリック感のある半透明の塗装を施した。容器のなかには、本社のある浅草のおかきを入れるというこだわり。おかきを食べ終わったら、開口部の広い容器はほかの用途で使える、というものだ。
竹本容器が上場したのは2014年12月。「配当とは違う形で、当社の製品を知ってもらえるような株主還元をしたかった」(同)ことから株主優待制度を導入したという。
「当社のビジネスは、B to Bモデルです。弊社の容器を使っている商品は、美容院などで目にすることがあるとおもいます。でも、容器に弊社名の記載がないため、なかなか気づかれません」(同)。株主優待品でオリジナル容器にこだわるのは、株主に自社の商品を届け、良さを知ってもらいたいからだ。「次回の優待に向けて、新たなオリジナル容器の開発を進めています」(同)という。
株主優待制度の導入により、株主は着実に増加、直近では5000人を超えた。2017年6月には東証1部へ「昇格」を果たした。株主に会社の事業をいかに知ってもらうかが課題となっている。「株主総会で毎回、竹本容器の事業内容についての質問がでる」(同)ため、次回の株主総会は、株主に事業内容を紹介する企画を検討中。また、今後も株主優待には積極的に取り組み、株主に自社の製品を知ってもらう機会として活用したいという。
≪権利確定≫
毎年12月31日
≪対象株主≫
保有株式数 1単元(100株)以上
≪優待内容≫
オリジナルボトルに地元浅草のお菓子を封入(配送費を除き、4,500円相当)
≪贈呈時期≫
翌年4月に送付
化粧品、食品向けなどの容器を製造、販売
「世界の器文化に貢献する」という経営理念のもと、商品の価値や個性を強める容器や、内容物を安全に包み保存する容器を開発、提供する。
容器の製造に必要となる金型を保有し、プラスチックボトルや押し出しチューブなどの本体容器、キャップ、ディスペンサー(ポンプ、スプレーなどの液体定量吐出装置)などの付属部品を製造する。これらを総称して「スタンダードボトル」と呼び、容器本体と付属品の組み合わせや着色、印刷など各顧客の要望に応じたデザインを施すことで独自性の高い容器を製造、短納期かつ小ロットで提供している。国内に加えて中国にも金型を有する生産拠点を設置しており、中国国内の顧客やアメリカ向け製品の製造・販売を行なっている。顧客は、化粧・美容、日用・雑貨、食品・健康食品、化学・医療など多岐の業界にわたる。
1950年、竹本商店として創業。53年に竹本容器を設立し、ガラス容器の販売を開始。その後、プラスチック容器の販売、印刷、加工などを手がけ、86年にプラスチック容器の生産を開始した。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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