QUICK企業価値研究所

左から総務部 田尻課長補佐、岸氏
「当社は、鉄道というディフェンシブ銘柄でありながら、成長を期待いただけます」というのは、総務部の田尻航課長補佐。その裏付けとなるのが、2016年5月に策定した「京急グループ総合経営計画」。「品川では、2027年リニア中央新幹線開業が予定されており、駅周辺の大規模開発や品川駅の2面4線化・地平化を計画しております。羽田空港は、発着回数の増加や東京五輪などで今後も利用者の拡大が見込まれ、当社グループの成長にも大きく貢献すると思われます」と話す。
2018年2月25日に創立120周年を迎えた京急グループ。今年秋には本社機能を横浜・みなとみらい21地区に移転する。「品川・羽田を玄関口として、国内外の多くの人々が集う、豊かな沿線を実現する」という長期ビジョン実現に向け、各事業を推進中だ。
関東圏以外の株主にはホテル無料宿泊券も
株主の約9割が関東圏の居住者、特に沿線に住む株主の比率は約6割と高い。株主優待では、「電車・バス全線きっぷ」のほか、京急グループ施設の割引券を発行しており、京急ストアや京急百貨店での利用率が高いという。
株主拡大に向けた施策を進めてきた。2017年10月に単元株式数を1,000株から100株に変更した。さらに、2018年9月末の株主優待で、最低株数を500株から100株に拡大。「従来は最低投資額が高額であったが、単元株式数の引き下げにより投資ハードルが下がり、かつ株式優待制度の拡充で、ここ最近は若い年齢層の方からも問い合わせをいただいております」(田尻課長補佐)。
株主向け施設見学会も人気だ。2018年度は「京急発祥の地を巡る大師見学ツアー」「KEIKYU OPEN TOP BUSと京急油壷マリンパークを巡る三浦半島の魅力をたっぷり感じるツアー」の2回を開催した。非常に申し込みが多く、倍率は高い。
「沿線外にお住まいのから遠い株主は、株主優待を利用しにくいことが課題」(総務部の岸穂乃花氏)として、「関東圏以外の株主に使っていただけるように、株主優待選択制度を設けており、京急EXホテル・京急EXインの無料宿泊券を選んでいただくことも可能です。さらなる拡充ができないか検討しています」という。全国各地でIRイベントや説明会を年数回実施し、株主を全国に広げる施策を展開している。
知ってください「葉山マリーナ」「川崎鶴見臨港バス」
株主優待は、京急グループの事業を周知する効果もある。例えば、株主優待割引券のメニューのひとつとして「葉山マリーナ」の江ノ島・裕次郎灯台周遊クルージングの利用料金割引がある。その割引券を通じ、「葉山マリーナ」が京急グループの施設であることを初めて知ったという株主からの声が寄せられた。また、「電車・バス全線きっぷ」の利用区間に「川崎鶴見臨港バス」が入っていることから、京急グループのバス会社であることを知ったという株主もいたそうだ。
京急グループは、株主優待を通じて品川・羽田空港を中心に沿線地域に密着した展開に成功している。株主の全国拡大へのレールはこれからだ。

株主優待のイメージ
≪優待内容≫
~100株以上所有の株主(年2回発行)~
100株以上500株未満 京急グループ施設株主優待割引券 1冊
500株以上 京急グループ施設株主優待割引券 1冊
※詳細はこちら
~100株以上200株未満所有の株主(年1回発行)~
京急グループ施設株主優待割引券に加え、電車・バス全線きっぷを発行する。
100株以上200株未満 2枚
※毎年3月31日の基準日時点の株主に限り年1回発行。毎年5月中旬に発送。
~200株以上2,500株未満所有の株主(年2回発行)~
京急グループ施設株主優待割引券に加え、電車・バス全線きっぷを発行する。
200株以上 500株未満 2枚
500株以上 1,500株未満 4枚
1,500株以上 2,500株未満 8枚
~2,500株以上所有の株主(年2回発行・選択式)~
京急グループ施設優待割引券に加え、所有株式数に応じて以下の優待を選択。
(a)電車・バス全線きっぷ
(b)京急EXホテル・京急EXイン無料宿泊券(シングル)
(c)電車全線パス
(d)バス全線パス
(e)電車・バス共通全線パス
2,500株以上5,000株未満 (a)(b)いずれか1つを選択
(a)15枚 (b)1枚
5,000株以上10,000株未満 (a)(b)いずれか1つを選択
(a)30枚 (b)2枚
10,000株以上15,000株未満 (a)(b)いずれか1つを選択
(a)60枚 (b)4枚
15,000株以上22,500株未満
下記(a)~(c)いずれか1つを選択+電車・バス全線きっぷ 15枚
(a)90枚 (b)6枚 (c)1枚
22,500株以上30,000株未満
下記(a)~(d)いずれか1つを選択+電車・バス全線きっぷ 15枚
(a)135枚 (b)6枚 (c)1枚 (d)1枚
30,000株以上
下記(a)(b)(e)いずれか1つを選択+電車・バス全線きっぷ 15枚
(a)180枚 (b)6枚 (e)1枚
※電車・バス全線きっぷは、1枚につき、電車またはバスのどちらか1回乗車できる。
※2,500株以上所有の株主には、指定がない限り電車・バス全線きっぷを送付する。京急EXホテル・京急EXイン無料宿泊券(シングル)を希望の場合は当社までご連絡ください。
※15,000株以上所有の株主には、指定がない限り電車全線パス(30,000株以上所有の株主は電車・バス共通全線パス)を送付する。電車全線パス以外を希望の場合は当社までご連絡ください。
※15,000株以上を3年以上継続して所有の株主には、上記の優待に加えて、電車・バス全線きっぷ15枚を発行。
[15,000株以上を3年以上継続して所有される場合の注意]
対象株主は、過去3年間すべての基準日において、15,000株以上を継続して所有し、かつ株主番号または氏名・住所が継続して同一である株主に限る。(相続により名義人が変更になった場合は対象とならない。)
関東私鉄大手。品川(東京)-三崎口(神奈川)を結ぶほか、羽田空港へのアクセスが強み。鉄道やバス、タクシーを運行する交通事業のほか、沿線の不動産事業、ホテルやレジャー施設の運営を行うレジャー・サービス事業、百貨店やストアを展開する流通事業など幅広く事業を手掛ける。
21/3期を最終年度とする5カ年の中期経営計画では、品川を筆頭に駅周辺を核とする街づくりの推進、羽田における基盤強化の推進などを重点テーマに掲げる。国際的な交流拠点とすることを目指し品川駅周辺地区の開発計画を進めるほか、羽田空港周辺エリアでホテルや商業施設、賃貸物件への積極的な投資を行う。
<売上構成>(19/3期連結、内部取引を含む営業収益): 交通事業31.5%、不動産事業17.7%、レジャー・サービス事業9.6%、流通事業26.9%、その他14.1%。
前身となる大師電気鉄道が1898年に創立。その後、事業統制により東京急行電鉄となったが、同社から分離し京浜急行電鉄が発足。2010年、羽田空港の再拡張にあわせ羽田空港国際線ターミナル駅が開業。
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