企業業績に対するアナリスト予想がどう変化しているのか、その方向性をひと目で判断できる独自のマクロ指標「QUICKコンセンサスDI」(11月末調査)が発表されました。3か月前と比べて、業績予想を上方修正した銘柄の比率から、下方修正した銘柄の比率を差し引いて求めています。
11月28日時点のQUICKコンセンサスDIは、全産業ベースでプラス12となっています。前月がマイナス3だったので、15ポイントの改善となりました。
10月末に日銀が発表した追加金融緩和策を受け、国内株式市場は堅調に推移。一時は国内景気の先行き不透明感がありましたが、追加金融緩和策と株価の上昇を受け、企業業績への期待感が改善の兆しを見せています。
円安メリットを活かし「機械」のDIが大幅な伸び
QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3か月前と比較し、上方修正(3%以上)した銘柄を「強気」、下方修正(3%以上)した銘柄を「弱気」と定義しています。また、ここで取り上げる個別銘柄は、5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄です。 今回、全産業ベースのDIはプラス12となりましたが、その内訳は次のようになります。
・強気銘柄=144銘柄
・弱気銘柄=95銘柄
・変化なし=170銘柄
また業種別には、東証33業種のうち主要16業種について公表していますが、DIのプラスが高い、つまり強気と見られている業種は、次の9業種になります
・銀行=50
・その他金融=50
・機械=40
・不動産=38
・非鉄金属=37
・鉄鋼=29
・電機=26
・化学=22
・建設=22
上記の9業種はDIのプラス幅が高いものから順に選んであります。銀行およびその他金融が1、2位を占めているのは、10月末の追加金融緩和策によって、一時的に金融機関の預貸利ザヤが拡大。それが業績に反映されるという見方が多かったためです。
また前回の数字からの変化率という点では、「機械」が非常に大きな伸びを見せています。昨今、急速に円安が進んでいるものの、なかには円安メリットを上手く収益に反映できない企業もありますが、この点、機械セクターは円安メリットを十分に享受しているようです。
パイオニア(6773)の大幅な業績改善が目立つ
3か月前に比べて、純利益の上方修正率が高い銘柄としては、パイオニア(6773)が8月末の31億2000万円から、11月末には199億8000万円へ、率にして540.38%という大幅な上方修正率となりました。上位20銘柄の上方修正率を見ると、2位の板硝子(5202)でも48.78%ですから、パイオニアの上方修正率が突出して高いことが分かります。
逆に、3か月前比で純利益の下方修正率の大きい銘柄は、1位がJVCケンウッド(6632)で、8月末の8億6800万円から、11月末には1億8000万円へと大幅な下方修正となりました。率にしてマイナス79.26%です。
また、これに次いで住友商事(8053)も、下方修正率マイナス78.86%で、JVCケンウッドに匹敵する数字となりました。住友商事の場合は、シェールガス・オイル関連権益に投資損失が発生し、業績の足を引っ張る形になりました。