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小売業の業績懸念は一服か…液晶2社は明暗くっきり(3月調査)

記事公開日 2015/4/1 13:00 最終更新日 2015/4/1 13:00 株式マーケット 調査・サーベイ 国内 企業決算見通し QUICKコンセンサスDI

全産業DIは伸び悩み…業績上方修正ペースが鈍化

アナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(3月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス14になりました。昨年11月から今年1月にかけてプラス24まで順調に改善してきていましたが、2月末はプラス16に悪化。今回発表された3月末分はさらにプラス14と、市場の企業業績に対する期待値がやや伸び悩み始めています。

全産業DIは伸び悩み...業績上方修正ペースが純化

QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。

DIのプラス幅が縮小したことは、アナリストによる業績上方修正のペースが鈍っていることを表します。

金融業の鈍化目立つ、小売など消費系業種が持ち直す

コンセンサスDIを製造業、非製造業、金融に分けて、過去5カ月間の推移を見ると、製造業が「14→24→33→16→15」と伸び悩んでいます。一方で金融は「50→46→68→58→38」と、3月末が大幅低下になりました。金融を業種別にみると、銀行が2月末時点のプラス42から、3月末はプラス17に急低下しています。一方、非製造業がじわじわと改善を続け、全体を支えています。

好転の兆しを見せているのが、小売や医薬、食料品といった消費関連業種です。小売は消費増税等の影響が懸念されてきた業種ですが、前月末のマイナス12から±0まで改善。アナリストの業績懸念が一巡したと言えそうです。小売は、為替レートが現行水準を維持できれば、訪日外国人観光客の増加によってインバウンド消費に対する期待感も高まるため、さらなる数値の改善も期待できそうです。医薬品もマイナス圏から±0に浮上、食料品もマイナス25からプラス5に転換しました。

小売、医薬は復調

建設(プラス22→プラス29)や化学(プラス26→プラス33)も改善しました。卸売は3月調査で-46と、まだマイナス圏ではありますが、2月調査の-67に比べれば改善の兆しが見え始めています

なお、業種別に見ていくと、算出対象となる16業種のうち、DIがプラスは10業種、DIがマイナスの業種は3業種で、変わらずは3業種でした。総じてみれば、上方修正銘柄が上回っている業種が多く、勢い自体は鈍っているものの、企業の経営環境に対する市場の見方は強気方向であると考えられます。

JDIとシャープで明暗…厳しい環境続くセガサミーHD

予想純利益率の上方修正率ランキング上位5社は、次のようになりました。中部電力は前月に引き続き、上方修正率ランキングのトップです。

銘柄名 修正率
中部電力(9502) 85.73%
JDI(6740) 65.34%
旭硝子(5201) 50.88%
東京ガス(9531) 36.10%
井英製鋼(5440) 35.10%

注目したいのは「日の丸液晶連合」として発足したJDI。同社は、昨年12月末時点における下方修正率ランキングで首位になった企業です。それが、3月末時点では逆に65%の上方修正となり、上方修正率ランキングの2位に入りました。ちなみに、JDIの2015年3月期は最終赤字になる一方、2016年3月期には最終黒字に転換するというのが、アナリストの見通しです。

JDIのように昨年12月時点で下方修正率上位にいたにも関わらず、3月時点で上方修正率上位に顔を出したものとして、上位20位までを見るとコスモ石油(5007)があります。

一方、予想純利益率の下方修正率ランキング上位5社は、次のようになりました。

銘柄名 修正率
シャープ(6753) ▲63.46%
グリー(3632) ▲32.98%
セガサミーHD(6460) ▲30.92%
イオン(8267) ▲28.42%
クボタ(6326) ▲27.12%

下方修正が厳しいのはセガサミーHDで、昨年9月時点の予想純利益は274億円。これが昨年12月時点で191億円になり、下方修正率は30%を超えました。さらに3月時点では132億円と、昨年12月比でさらに3割強の下方修正となっています。30%台の下方修正率が続いている点が、セガサミーHDを取り巻く経営環境の厳しさを物語っています。

また上方修正のトップがJDI、下方修正のトップがシャープと、国内液晶大手2社の業績に明暗がついているのは、興味深い点です。両社は最大市場の中国でスマホ需要を奪い合う競合ですが、単独で戦ってきたシャープが落ち込み、政府主導で生まれたJDIが浮上してきているという構図となっています。


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