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製造業DIが4カ月連続の改善も、円高リスクに懸念も

記事公開日 2017/2/1 11:10 最終更新日 2017/2/1 11:10 株式マーケット 調査・サーベイ 国内 企業決算見通し QUICKコンセンサスDI

 

製造業に対する強気の業績見通し増える

 株式市場のアナリストによる業績予想の方向感を示す「QUICKコンセンサスDI」(2017年1月末時点)は、金融を含めた全産業ベースでプラス23となり、前月(プラス16)から7ポイント改善しました。金融DIがプラス7で前月(プラス10)から3ポイント低下しましたが、製造業DIがプラス37で前月(プラス26)から11ポイント上昇して4カ月連続の改善となり、全体を押し上げました。非製造業DIもプラス9と前月(プラス4)から改善しました。

 QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から、「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出されます。DIがプラスに転じたということは、上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回っているということです。5社以上のアナリストが業績を予想する銘柄を対象にしているため、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかを判断するうえで参考になります。DIのプラス幅が拡大したことは、アナリストによる業績上方修正のペースが加速していることを表します。

 2015年11月よりマイナス圏に低迷していた全産業DIが、2016年10月から回復基調となり、12月にプラス圏を回復したのは、9月下旬以降に円安・ドル高へ転じたことが挙げられます。さらに米大統領選後、トランプ氏が打ち出した経済政策への期待で米国の長期金利が上昇し、日米の金利差が広がったため、さらに円安・ドル高が進みました。輸出関連企業を中心に収益改善期待が高まったことがコンセンサスDIに現れてきたといえます。ただ、トランプ大統領は1月31日の会合で日本の通貨政策を批判。2月10日の日米首脳会談の内容次第では、今後の為替相場に逆風となる懸念もありそうです。

 

QUICKコンセンサスDI

 

 

非製造業も一年前の水準まで改善

 次にDIを製造業と非製造業別にみてみましょう。製造業、非製造業ともに改善傾向を示しています。製造業は2016年12月にマイナス圏を脱し、大幅な改善をたどっています。非製造業も一年前の水準を超え、プラス9まで改善しました。全体的に業績見通しは底堅さを増しているといえそうです。ただやはり、トランプ米大統領の動向によっては円高・ドル安への反転リスクなどがあり、輸出企業の業績に悪影響を及ぼす可能性もあります。

 <製造業DIの過去1年間の推移>

2016年1月・・・・・・▲11
              2月・・・・・・▲35
              3月・・・・・・▲48
              4月・・・・・・▲47
              5月・・・・・・▲47
              6月・・・・・・▲48
              7月・・・・・・▲49
              8月・・・・・・▲45
              9月・・・・・・▲38
              10月・・・・・・▲25
               11月・・・・・・ ▲3
              12月・・・・・・    26
 2017年1月・・・・・・ 37

 

<非製造業DIの過去1年間の推移>

2016年1月・・・・・・・8
              2月・・・・・・▲3
              3月・・・・・・・1
              4月・・・・・・▲1
              5月・・・・・・▲9
              6月・・・・・・▲18
              7月・・・・・・▲15
              8月・・・・・・▲7
              9月・・・・・・▲15
              10月・・・・・・▲10
              11月・・・・・・・1
              12月・・・・・・・4
 2017年1月・・・・・・・9

 

鉄鋼がマイナスから大幅改善

 

 業種別のDIを見ると、16業種中、DIがプラス(上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回る)の業種は11業種。一方、マイナス(下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回る)の業種は1業種、変わらずは4業種となりました。前月からのDIの動きを業種別に見ると、以下のようになります。

↑プラスが拡大・・・・・・・・・・・・「非鉄金属」「電機」「輸送用機器」「情報通信」
 ↑マイナスまたはゼロからプラスに転換・「小売」「不動産」
 ↑マイナスからゼロに改善・・・・・・・「鉄鋼」
 →プラス圏で横ばい・・・・・・・・・・「化学」
 →ゼロで横ばい・・・・・・・・・・・・「その他金融」
 ↓プラスが縮小・・・・・・・・・・・・「食料品」「機械」「建設」「卸売」
 ↓プラスからゼロに縮小・・・・・・・・「医薬品」「銀行」
 ↓マイナスが拡大・・・・・・・・・・・「サービス」

 プラスが拡大した4業種のうち、「情報通信」を除く3業種は、前回の12月調査でマイナス圏からプラスへと転換したセクターで、今回も「電機」が22ポイント、「輸送用機器」24ポイントと改善への弾みがついています。前回までマイナスだった「鉄鋼」も、86ポイントの大幅な改善となりました。一方、この3カ月で「食料品」(35→22→15)や「医薬品」(19→13→0)は徐々に悪化をたどり、今回の調査で唯一マイナスだった「サービス」(8→マイナス8→マイナス34)は、26ポイントの悪化となりました。

 

ジャパンディスプレイの大幅な上方修正率が目立つ

 

 銘柄数の内訳は「強気」銘柄は147銘柄、「変化なし」は156銘柄、「弱気」銘柄は61銘柄になりました。3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄のうち、いずれも上位5銘柄をピックアップすると、下記のようになります。

 3カ月前との比較で純利益の上昇修正率が最も大きかったのはジャパンディスプレイ(JDI)。スマートフォン(スマホ)など中小型用液晶パネル大手のJDIは、官民ファンドで大株主の産業革新機構から750億円の資金支援を受けると発表していることなどを受けて、業績に対する見方が改善したようです。また、同社が発表した曲げられる液晶パネルなど、次世代ディスプレーのスマホ以外への応用も期待されているようです。

 

 <上方修正率の大きい銘柄>
1位 JDI(6740)・・・・・・・・13391.94%
2位 シャープ(6753)・・・・・・・・160.80%
3位 新電工(6967) ・・・・・・・・・96.41%
4位 SUMCO(3436) ・・・・・・・92.51%
5位 イビデン(4062) ・・・・・・・・・51.47%

 <下方修正の大きい銘柄>
1位 サイバダイン(7779)・・・・・・▲49.43%
2位 コロプラ(3668)・・・・・・・・▲46.95%
3位 アンリツ(6754)・・・・・・・・▲41.45%
4位 小野薬(4528)・・・・・・・・・▲34.96%
5位 そーせい(4565)・・・・・・・・▲27.70%

 

 


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