製造業に対する弱気見通し増える
アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示す「QUICKコンセンサスDI」(5月末時点)は、金融を含めた全産業ベースで前月比13ポイント悪化のプラス9でした。製造業や金融セクターの業績に対する弱気見通しが増加し、指数全体を押し下げました。製造業の中では特に自動車などの輸送用機器の悪化が目立ちました。米国の新車販売の減速などが同セクターに対する弱気見通しが増えている理由のようです。
輸送用機器は弱気 不動産と建設は改善
次に業種別に見てみましょう。算出対象の16業種中でDIがプラス(上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回る)だった業種は9業種。一方、マイナス(下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回る)の業種は5業種、変わらずは2業種でした。
製造業では特に自動車など輸送用機器が前月比で70ポイント低下し、マイナスに転じました。日本経済新聞によると、トヨタ自動車など自動車8社が30日発表した2017年4月の海外生産台数は前年同月比2.5%減の148万8093台でした。米国では年初から新車販売台数が減速しており、日系メーカーも生産台数を減らしているようです。
そのほか、食料品もマイナスに転落しました。非鉄金属や機械、電機、鉄鋼も弱気の見方が増えています。
非製造業では情報・通信がマイナスに転落。一方、不動産と建設の改善が顕著でプラス幅が拡大しました。
<製造業・業種別QUICKコンセンサスDI>
食料品 化学 医薬品 鉄鋼 非鉄 機械 電機 輸送用
金属 機器
17年5月 -7 50 19 17 60 26 16 -42
17年4月 0 44 12 33 100 63 41 28
17年3月 5 54 12 71 100 57 56 64
<非製造業・金融業種別QUICKコンセンサスDI>
建設 情報・ 卸売 小売 不動産 サービス 銀行 その他
通信 金融
17年5月 50 -24 15 -12 50 -5 0 0
17年4月 38 0 56 -12 10 -13 14 25
17年3月 20 8 60 3 18 -27 21 0
シャープの上方修正期待大きい
個別銘柄では「強気」が102銘柄、「変化なし」が144銘柄、「弱気」が74銘柄になりました。3カ月比で純利益の上方修正率、下方修正率が大きな銘柄の上位5銘柄をそれぞれピックアップすると、下記のようになります。
純利益の上方修正率が最も大きかった銘柄は、先月と変わらずシャープがトップをキープ。先月5位だった関西電が2位となりました。一方、最も下方修正率が大きかったのは、3カ月連続でサイバーダインとなりました。
<上方修正率の大きい銘柄トップ5>
コード 銘柄名 予想純利益 修正率
5月末 2月末
1 6753 シャープ 39,517 22,183 78.14
2 9503 関西電 141,846 99,690 42.29
3 3632 グリー 9,501 6,726 41.26
4 7518 ネットワン 4,247 3,255 30.48
5 9202 ANA 121,771 94,309 29.12
<下方修正率の大きい銘柄トップ5>
▽3カ月前比で純利益の下方修正率の大きい銘柄上位(5月31日時点)
コード 銘柄名 予想純利益 修正率
5月末 2月末
1 7779 サイバダイン 22 515 -95.73
2 7752 リコー 4,540 19,730 -76.99
3 3099 ミツコシイセタン 10,983 18,931 -41.98
4 6460 セガサミーHD 12,800 20,130 -36.41
5 2678 アスクル 4,264 6,448 -33.87
※最終赤字の銘柄は除く。直近3カ月前とも5社以上のアナリストが業績予想を出している銘柄が対象。
単位は純利益が百万円、修正率は%