企業の7~9月期決算の発表が相次いでいる。売上高や利益の前年比成長率もさることながら、決算を評価するうえでのもう一つのポイントが、企業の計画に対する足元の進み具合をあらわす進捗率だ。
QUICKでは四半期ごとの売上高の進捗率が一目でわかる「進捗率ダッシュボード」を提供している。単純に考えれば四半期ごとに25%程度ずつ売上高が進捗する計算になるが、実際は企業や業態によって上期に売上高が大きく増える傾向にあったり、下期に偏る傾向があったりとさまざま。進捗率ダッシュボードではそうしたトレンドを「先行」や「期末追い込み型」など7つのタイプに分類したうえで進捗率を示すことにより、それそれの企業の実態を踏まえた評価、分析が可能となっている。
24日の取引時間終了後に2017年1~9月期決算を発表したキヤノン(7751)をみてみよう。連結売上高は前年同期比21%増の2兆9597億円で、会社の2017年12月期計画(4兆800億円)に対する進捗率は72.54%となる。単純計算なら第3四半期(3Q)を終えての進捗率としては若干物足りない印象も受けるが、キヤノンは「少し出遅れ傾向」のタイプに属する。
1~9月期時点での業績進捗率は、実際のところ過去平均を上回る水準であり過去6期では最高だ。キヤノンの売上高の四半期ごとの偏りを踏まえれば、物足りないどころかむしろ上振れ余地を示しているようにも見える。翌25日のキヤノンの株価は通期業績予想の上方修正などほかの材料も好感して上昇した。
進捗率ダッシュボードでは営業利益や純利益の進捗率も確認できる。過去の傾向と照らし合わせて分析に役立てることで、より的確な企業評価につなげられるだろう。