建設機械大手のキャタピラーは、米中部時間24日午前6時30分(日本時間24日午後10時30分)に2018年1~3月期(1Q)決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると18日時点の市場の予想EPS(1株利益)は2.10ドル。売上高は前年同期比21.6%増の119億ドルを上回ると予想されている。
【キャタピラーの18年1~3月期決算に対する市場予想】
・売上高 :119億4800万ドル(21.6%増)
・EPS(Non-GAAP) :2.10ドル
(注)QUICK FactSet Workstationより
直近3カ月の株価の値動きは乱高下している。4月4日には1月の高値から20%超安い138.05ドルまで下げたが、その後18日には155.95ドルで引け、10%超戻している。3月には米中の貿易摩擦懸念を受けて株価が軟調に推移したが、そもそもキャタピラーの中国売上高比率はあまり高くない。
QUICK FactSet WorkstationでS&P500銘柄を対象に中国売上高比率を取得したところ、中国売上高比率は5.01%で132番目。仮に米中で貿易摩擦の問題が拡大したとしても、収益への影響は限定的と見られる。また、シーポート証券は18日付けのリポートで「中国事業は大半が現地生産で、関税の影響はない」との見方を示した。貿易摩擦懸念を市場がどこまで織り込んだか、不透明な面がありそうだ。
キャタピラーの売上高は、建機向けが4割、エネルギーと運輸向けが3割、鉱業向けが2割を占める。シーポート証券のマイケル・シルキーアナリストは各セクターについて下記のように分析し、目標株価を195ドルで買い推奨とした。
▼各セクターの見方
◎建機向けセクター…設備投資による建機の需要が供給を上回ることが生産者へのヒアリングで判明
◎エネルギー・運輸セクター…グローバルで鉄道のレール需要が伸びており、レールメンテナンス用機械の需要にも追い風
◎鉱業向けセクター…原材料価格が高騰し、採掘機械にとってポジティブ
一方、ウェルズ・ファーゴは15日付けのリポートで1年~1年半後の目標株価を200ドルから180ドルに引き下げた。「株式市場全体の期待値の低下を受けて目標株価を修正した」という。とはいえ「依然として株価の上昇が見込める」として投資判断は「アウトパフォーム」で据え置いた。
資本政策への期待もある。ロバートWベアードは16日付けのリポートで「自社株買いやM&Aに使える資本が70億ドルある」と指摘。本業の業績以外にも株価押し上げの「ドライバー」が存在することも株価の下支え要因として働きやすい。
市場では好業績が見込まれ、現状の株価は割安との見方が大勢を占める。足元では原油価格のほか非鉄金属の市況も良好。世界経済の先行きに対する安心感が強まるようだと、設備投資への意欲も高まる公算が大きい。
投資家が求めるようなバラ色シナリオを経営陣が示すのか――。今回のキャタピラーの決算はミクロ、マクロの両面で関心を集めそうだ。(伊藤央峻)
キャタピラーの株価とEPSの推移
(注)QUICK FactSet Workstationの「サプライズ履歴」を引用。グレーの折れ線は株価、水色の棒グラフはEPS予想の上限、青色は下限、緑色の●はEPS実績値をそれぞれ示す
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