キャタピラーは、米中部時間30日午前6時30分(日本時間30日午後8時30分)に2018年4~6月期決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると26日時点の市場の予想EPS(1株利益)は2.73ドル。売上高は前年同期比23.5%増の139億9050万ドルと予想されている。
【キャタピラーの18年4~6月期決算に対する市場予想】
・売上高 :139億9050万ドル(23.5%増)
・EPS(Non-GAAP) :2.73ドル
(注)QUICK FactSet Workstationより作成
1~3月期が今年のピークになる――。4月24日の決算説明会でブラッドリー・ハルバーソン最高財務責任者(CFO)が述べると、株価は急落した。原材料コストの上昇による収益成長の鈍化を理由に上げた。1~3月期のEPSは2.82ドルと市場予想(2.12ドル)を大幅に上回る好業績だったものの、その後の株価は貿易摩擦への懸念も重なり軟調に推移している。足元の株価は135~140ドル台で、今年1月につけた年初来高値(173.24ドル)を20%程度下回る水準だ。
記憶に新しい「キャタピラー・ショック」だが、業績は本当にピークだったのか。アナリストの見方は分かれている。クレディ・スイスは18日付のリポートで、住宅・インフラ・エネルギーなど多岐にわたる市場で建機の需給が逼迫していると指摘し、目標株価を210ドルに据え置いた。自社株買いや配当の見直し、業績見通しの上方修正の可能性があるとも指摘した。
一方、弱気なのはマッコーリー・キャピタル証券だ。10日付のリポートで目標株価を130㌦に据え置き、売り推奨とした。キャタピラーのウェブサイトから集計した中古重機の取引価格が5月下旬に下落に転じたことをネガティブ視している。
貿易摩擦による先行きの不透明感もキャタピラーの株価の上値を抑える。6月中旬にトランプ米大統領が中国に対する制裁関税のリストを公表。貿易戦争に関する報道が続き、株価は連日陰線を引いて下落した。
チャートは投資家の慎重な姿勢を表し、「売り」シグナルが点灯。米メディアのマーケット・ウオッチは22日、約2年3ヵ月ぶりに50日移動平均が200日移動平均を割り込み、「デッドクロス」を形成したと報じた。11月の米中間選挙に向けて、貿易摩擦の報道が出る度に売られる「ヘッドラインリスク」が意識されれば、好業績で割安な銘柄であっても手を出しづらい。
米債券市場では2年物と10年物の利回り差が縮小する「逆イールド」が近いとの見方も出ている。景気後退の兆しともいわれるサインだ。市場予想を上回る業績で3ヵ月前の「ショック」を払拭できるかに注目だ。(伊藤央峻)
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