建設機械大手のキャタピラー(CAT)は、米中部時間23日午前6時30分(日本時間23日午後8時30分)に2018年7~9月期決算を発表する。QUICK FactSet Workstationによると23日時点の市場の予想EPS(1株利益)は2.83ドル。売上高は前年同期比16%増の132億5800万ドルと予想されている。
【キャタピラーの18年7~9月期決算に対する市場予想】
・売上高 :132億5800万ドル(前年同期比16.1%増)
・EPS(Non-GAAP) :2.83ドル(同45.1%増)
(注)(QUICK FactSet Workstationより)
キャタピラー株には依然として強気の見方が多い。23日時点でQUICK・ファクトセットが集計した目標株価の平均は175.84ドルだ。22日の株価(128.71ドル)を約36%上回る水準。28社のアナリスト予想のうち16社が「買い」のレーティングとなっている。「中立」は9社で、「売り」推奨は1社のみだ。米中の通商摩擦が取りざたされるなか、中国関連のキャタピラー株には売りがかさみ、アナリスト予想との乖離は大きくなっている。
JPモルガン証券は5日付けのリポートでキャタピラーの目標株価を188ドルに据え置いた。毎年ニューヨークで開かれる米国道路交通建設者協会(ARTBA)のミーティングで過去最高の受注環境が大手建設会社などから報告されたという。米政府の支出は増加傾向で、上位12州に今後3年間で1000億ドルが支出される見込みであることをキャタピラー株に強気な見方を示す理由に挙げた。最大のリスクは原材料価格や人件費などのコスト上昇であることも指摘した。
クレディ・スイス証券も強気だ。15日付けのリポートで、キャタピラーは引き続き機械業種の最注目株であると指摘した。目標株価は210ドルとした。機械業種全体の18年7~9月期の業績について、4~6月期と同様、ドル高の逆風のなか売上高は予想と一致かやや上振れる程度の水準に着地するとの見方を示した。コスト高が利益の下押し要因となるが、それでも株価が上昇傾向にあるのは19年への期待の現れだとも指摘した。
キャタピラーの地域別売上高の46%を占める北米地域の景気は好調となっている。1日、サプライマネジメント協会(ISM)が発表した9月の米製造業景況感指数は59.8だった。2004年以来14年ぶりの高水準となった8月を1.5ポイント下回ったものの、引き続き高水準で推移している。
売り上げのもう一つの柱である中国の景気はやや先行き不透明だ。中国国家統計局が9月27日に発表した一定規模以上の工業企業の2018年1~8月期の利益は前年同期比16.2%増の4兆4248億7000万元だった。増加率は1~7月(17.1%)からやや鈍化したほか、8月単月では前年同月比9.2%増の5196億9000万元と、伸び率が7月(16.2%)から大幅に減速した。
米中の貿易摩擦の激化の兆しへの株価の反応は大きい。トランプ米大統領が10月9日、対中関税に中国が報復した場合残りすべての輸入品に追加関税を課すと改めて述べると、キャタピラーの株価は2.53%下落した。通商摩擦の動向次第で売られる構図は変わらない。今後の業績の成長には、好調な米景気だけでなく貿易摩擦による減速が懸念される中国経済からの後押しも欠かせないと市場は見ている。(伊藤央峻)
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