QUICK Market Eyes=大野弘貴
新型コロナウイルスの拡散に対し市場の警戒感が高まる中、日本株にとって心強いファンダメンタルズのデータが出てきた。場所はオランダ。ある企業の業績が投資家心理を支えている。
■市場予想上回った半導体製造装置の決算
オランダの半導体製造装置ASMLが22日に発表した2019年10~12月期決算は、売上高が前年同期比28%増の40億3600万ユーロ、調整後の1株利益(EPS)は2.69ユーロだった。露光装置の受注額は同53%減の24億ユーロだった。FactSetがまとめた市場予想の売上高(39億8030万ユーロ)を上回った。EPSは市場予想並みの着地だった。
同社のピーター・ウェニンク社長兼最高経営責任者(CEO)は決算発表資料内で「20年もEUV(極端紫外線)需要などに牽引され、売上高、収益ともに成長すると見込んでいる。ロジック市場は5Gおよび高性能コンピューティングアプリケーションへの投資により、20年も堅調に推移すると予想されている。メモリ市場では、回復の兆しが見え始めている」と述べた。
■「日本のSPEにとって明るい兆し」
ゴールドマン・サックス証券は22日付リポートで「露光装置の受注はEUVの受注台数が多かった前四半期比で減少したものの、3四半期連続で前年同期比プラス成長となっており半導体製造装置市場が中期で回復トレンドにある点を示している」との見方を示した。
また、「ASMLの明るい20年見通しは、半導体装置市場が成長トレンドへ回帰すると予想する当社想定に沿った内容と考え、日本SPE(半導体製造装置)セクターに対しても前向きな示唆」であるとの考えも示されている。
ASMLが発表したEUV露光装置の需要見通しは、20年に35台の出荷が見込まれ、19年の26台から大きく増加する見通しが示された。これについてゴールドマンは「EUV露光に関連する市場が順調に拡大基調にあることから、日本企業に対してはHOYA(7741)やアルバック(6728)に対して前向きな示唆」との見方を示している。
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