日経QUICKニュース(NQN)=矢内 純一
■新型肺炎でニーズ高まる
経営者と株主の対話の場である株主総会に、インターネットを通じて自宅からでも参加できる「バーチャル株主総会」の実施ガイド(案)を経済産業省が公表している。足元では新型コロナウィルスによる肺炎感染が拡大、多くの人が集まるイベントの開催自粛が広がっており、「バーチャル株主総会」のニーズはさらに高まっている。経産省案は参考になりそうだ。
■議決権行使と質問の可否で2つのタイプ
ガイド(案)では、株主総会をインターネット等で見ることはできるが、当日の議決権行使や質問をできないものを「バーチャル参加」、インターネット等で見ながらかつ議決権行使や質問ができるものを「バーチャル出席」としている。ソフトバンクグループ(9984)など一部企業では「バーチャル参加」が広がってきたが、「バーチャル出席」は普及していない。
「バーチャル出席」については、開催場所と株主との間で情報伝達の双方向性と即時性が確保されることや、当日の議決権行使のためのシステムを企業側が用意する必要がある。
■質問権の乱用など懸念点も
ガイド(案)では、実際に会場に足を運ばないため、質問に対する心理的ハードルが下がることなどを踏まえ、「質問権の行使や動議の提出が乱用的に行われる可能性も否定できない」など懸念点も指摘されている。お土産については、交通費をかけ会場まで足を運び来場したことのお礼と考えられることから、バーチャル出席者には「配らないとしても不公平ではない」との考え方だ。
3月期決算が多い日本で、株主総会が増えるのは6月。バーチャル参加を可能とする企業が増えれば、地理的な理由などで見送っていた投資家の参加が増えるかもしれない。