QUICK Market Eyes=山口正仁、根岸てるみ、上田誠
26日の日経平均株価は大幅反落した。前日に東京都の小池百合子都知事が今週末の外出自粛を要請した。改めて新型コロナウイルスの深刻さが意識され、直近の戻りピッチが速かっただけに売りが膨らんだ。ただ、売り一色というわけではない。コロナという材料で明暗が鮮明になったのもこの日の特徴と言える。QUICK Market Eyesが取引時間中に配信した個別銘柄に関する記事でその様子を浮かび上がらせてみたい。
<上げ銘柄>
ブイキューブ(3681)― ストップ高 都内への移動自粛の動きが広がり
制限値幅の上限(ストップ高)まで上昇し、その後も同水準で買い気配となっている。26日午後配信の日本経済新聞電子版ニュースは、新型コロナウイルスの感染が東京都内で急拡大していることを受け、東京都が同日、神奈川、千葉、埼玉の3県に対して都内へ不要不急の移動をしないよう要請することを決めたと報じた。在宅勤務の導入や推進が進めば、ブイキューブが提供するウェブ会議やテレビ会議などテレワーク支援の商機につながるとの見方につながっているようだ。
マルハニチロ(1333)― 一段高 都の外出自粛要請で缶詰・冷凍食品に関心か
一段高。東京都が25日不要不急の外出を自粛するよう要請したのに続き、埼玉県や神奈川県が26日県民に対し週末の外出自粛を要請する方針と伝わったことが手掛かりとみられる。マルハニチロは水産物の缶詰のほか、冷凍食品メーカーで「巣ごもり」関連銘柄のテーマ性に沿っている。2019年には、冷凍米飯シリーズの「WILDish(ワイルディッシュ)」を全国発売した。電子レンジで調理後に開封すると袋が自立するため、皿に移す必要がない手軽さからたびたびメディアで紹介されていた。
ヘリオステクノH(6927)― ストップ高気配 マスク生産設備の販売を開始
ストップ高気配。同社は26日、新型コロナウイルスの感染拡大でマスクの生産が重要に追い付いていないため、マスク生産設備の販売を開始したと発表した。設備の生産能力は1分で100枚。販売に伴う業績への影響は軽微としているが、短期資金が向かっている。感染者が東京都内で急速に増加したことを受けて、政府は政府対策本部を設置することを決めた。このため、今後は総理大臣が「緊急事態宣言」を出すことが可能になる。
ニプロ(8086)― 10%高 人工呼吸器の増産を検討と伝わる
前日比10%高と後場一段高。25日夜配信の日本経済新聞電子版ニュースは、新型コロナウイルスの感染拡大に関連して人工呼吸器に不足懸念が浮上していると伝えた。人工呼吸器のうち体外式膜型人工肺(ECMO)の生産を手掛けるニプロ(8086)は、国内向けの安定供給が可能というが、医療機関からの引き合いが強まっていることを受け増産を検討すると報じられた。
人工呼吸器の関連では子会社の増産が報じられた旭化成(3407)が前日比3%超高と後場に上げ幅を拡大。人工呼吸器など治療装置を手掛けるフクダ電子(6960、ジャスダック)が前場に制限値幅の上限(ストップ高)まで上昇する場面があった。
アンジェス(4563)― 高値もみ合い 新型コロナのワクチン開発で動物試験を開始
高値もみ合い。26日前引け後、2020年3月5日に発表した新型コロナウイルス(COVID-19)向けDNAワクチンの大阪大学との共同開発に関し、プラスミドDNAワクチンの動物への投与を行う非臨床試験を開始したと発表した。この段階を経過することで、人への投与を行う臨床試験が可能になるとしている。20年12月期連結決算の通期業績に与える影響は現在精査中とした。
エアーテック(6291)― 急伸 新型コロナ関連で循環物色の動き
急伸。一時上昇率は19%近くに達した。新型コロナウイルス関連との位置づけからウイルスの漏出を防ぐ陰圧ブースなどを手掛ける同社は1月末から2月にかけ急伸していた背景がある。足元はやや利益確定売りが優勢となっていたものの、東京都が外出自粛要請を出すなど感染拡大懸念が高まる中で再び短期資金の物色が向かいやすい地合いとなっている。新型コロナ関連で1月末に上場来高値を付けた防じんマスクの興研(7963、ジャスダック)もストップ高(制限値幅の上限)まで上昇している。
中京医薬(4558)― ストップ高 「巣ごもり」関連銘柄で
制限値幅の上限(ストップ高)まで上昇し、その後も同水準で買い気配となっている。値動きが軽い新興銘柄に待機資金が流入しているもよう。中京医薬は医薬品の配置販売会社だが、医薬品のほか飲料や日用品などインターネット販売も手掛ける。不要不急の外出自粛が要請されるなか、「巣ごもり」関連銘柄として物色されているようだ。
川本産業(3604)― 大幅続伸 主力銘柄が下落でマスク関連の材料株選好か
大幅続伸。日経平均株価が一時1万9000円を下回るなど大幅下落となっており、値動きが軽い中小型株としてマスク関連の材料株が選好されやすいようだ。東証2部上場では医療・衛生材料サプライヤーの川本産業(3604)、防護服を取り扱うアゼアス(3161)、ジャスダック上場では防じん・防毒マスクの興研(7963)、防じん・防毒マスクなど安全衛生保護具の重松製作所(7980)が軒並み大幅上昇している。
ブイキューブ(3681)― 大幅続伸 東京都が外出自粛、自宅勤務呼びかけで
大幅続伸。東京都は25日、新型コロナウイルスの感染者増加に伴い、今週末の外出自粛と平日の仕事はできるだけ自宅ですることを呼びかけた。テレワーク関連銘柄として個人の買いを集めているようだ。
<下げ銘柄>
パーク24(4666)― 一段安 首都圏の移動自粛で
一段安。東京都が25日に開いた緊急の記者会見で、小池百合子知事が不要不急の外出自粛を要請したことがきっかけとみられる。26日午後に、東京都が神奈川・千葉・埼玉3県に対し都内への移動を自粛するよう要請すると伝わった。レンタカーやカーシェア、駐車場の利用減退につながるとの連想から見送られていると考えられる。
MonotaRO(3064)― 外資系証券が格下げ、新型肺炎の影響で
欧州系証券が投資判断を「ニュートラル」から「アンダーパフォーム」、目標株価を3100円から2300円に引き下げているようだ。新型コロナウイルスの影響を業績予想に織り込み、目標株価を大幅に引き下げたもよう。東京都による外出抑制要請により小売株が大きく売られていることもあり、同社株も大幅安となっている。
いちごホテルリート投資法人(3463)― 急反落 2月のホテル売上高は27.1%減、宿泊需要の減少で
急反落。25日大引け後に発表した2020年2月のホテル運営状況で、同法人が保有する18ホテル合計の売上高は前年同月比27.1%減の4億7400万円だった。1室当たりの売上高(RevPAR)は同30.2%減の5029円だった。客室稼働率は同16.5%減の74.8%だった。新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けた、政府によるイベント自粛要請、国内外での移動・渡航の自粛や規制の影響で、宿泊需要が大幅に減少した。
グルメ杵屋(9850)― 急反落 20年3月期の業績予想を取り下げ、期末無配に
急反落。25日大引け後、2020年3月期連結決算の業績予想を取り下げた。従来は営業利益で前期比35%増の9億円を見込むなど、増収増益予想を示していた。新型コロナウイルスの感染拡大により、商業施設など集客力があるレストラン店舗の来店客数が減少しているほか、機内食事業も国際路線の減便などの影響を受ける。流行の状況や行政府の対応などで売上げや利益の変動が避けられないため、影響額の正確な把握が困難であるとして、業績予想を「未定」とした。同時に、20年3月期末の1株当たり配当金は、前回予想の12円から無配にすると発表した。子会社の業績悪化で減損損失や引当金など特別損失の計上を見込むことを要因に挙げている。
東京封鎖のリスク、鉄道・航空で追加的な収入減の恐れ=野村証券
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染者急増を受け、東京都の小池百合子知事が25日夜に緊急の記者会見を開き、都民に週末の「不要不急の外出」を自粛するよう要請した。野村証券は26日付の運輸セクターのリポートで「首都封鎖による鉄道、航空の追加的な収入減リスクが浮上」と指摘した。その中では「これまで、現在の経済活動を前提にすれば鉄道近距離収入が従来に比べて約30%の減少、新幹線など中長距離収入50~60%の減少だったが、首都封鎖まで段階が進むと東京関連の鉄道会社、航空会社それぞれ収入がさらに減少しよう」と指摘。その上で「JR東日本(9020)はJRの中での年初来の相対パフォーマンスが良かったが、感染者の今後の推移はリスク要因として念頭に置いておきたい」としながら、「仮に1カ月ほどの首都封鎖が実施された場合、多くの人が3月末から4月に更新する定期券の購入も1カ月遅れることになると考えられる」とも指摘した。乗車券だけでなく、短期的にまとまった売上が入る定期券収入の減少もやや警戒していた。