QUICK企業価値研究所アナリスト 永田和子(2020/04/22)
・今期は新型コロナの影響を厳しく予想
休業中店舗の5月7日再開を想定するが、夏休みまで外出自粛の流れが続く(店舗も営業時間短縮、販促抑制を継続)とみて、新型コロナウイルスの影響を厳しく予想。下期も消費マインドの更なる冷え込みや免税売上高の戻りの弱さを見込み、今期連結事業利益を前期比92%減の35億円(会社計画170億円)とする。百貨店への影響だけでなく、固定賃料等が下支えするはずのパルコ、不動産も賃料減免などが避けられまい。新型コロナウイルスの収束動向次第で今期業績予想は大きく変動する可能性も。
・来期から3年間で心斎橋、渋谷の取り組みを横展開へ
来期連結事業利益は445億円、23/2期は475億円と「V字回復」を予想。新型コロナウイルス収束後の消費行動変容リスク(テレワーク定着による都心店の集客力低下やスーツ・化粧品等の需要縮小、ネット通販への移行加速)は織り込んでいない。だが、来期から3年間の新「中計」で心斎橋、渋谷で実現した変革を迅速に横展開。事業ポートフォリオ変革も進むと考えられるため、上記リスクは回避できよう。完全子会社化したパルコとのシナジー追求も注目ポイント。現「中計」(今期繰り上げ終了)で目標に掲げたROE水準向上に向け、株主還元強化にも注目したい。
・リスクファクター ~新型コロナの影響長期化など
・アナリストの投資判断 ~変革加速を考慮すれば、PBR0.5倍、来期予想PER8倍には割安感あり
新型コロナウイルス感染拡大が続けば更なる下値リスクもあるが、株式市場の関心はいずれ新型コロナウイルス収束後の業績見通しに移行しよう。当研究所は収束後の「百貨店離れ」リスク回避に向けた変革が加速するとみるだけに、実績PBR0.5倍(リーマンショック直後からアベノミクス始動直前までの平均0.7倍)、来期PER(当研究所予想)8倍、来期配当利回り(同)3.9%という株価水準は割安感があると考える。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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