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ブラジル関連投信、コロナ響き運用悪化 通貨レアルは最安値圏

QUICK資産運用研究所=西本ゆき

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が新興国経済を揺さぶっている。特に中南米で最も感染拡大が深刻なブラジルは原油安に政治混乱なども加わり、資金の引き揚げ懸念が強い国のひとつだ。通貨レアルは対ドルや対円で最安値圏まで下がり、日本の個人投資家が保有しているブラジル関連の投資信託も運用が悪化している。

■通貨・株式・債券が「トリプル安」

ブラジルは通貨、株式、債券がそろって下げる「トリプル安」に見舞われている。通貨レアルは前週末24日に大きく売られ、ドルに対して1ドル=5.7レアル台、円に対して1レアル=18円台と、いずれも過去最安値を更新。年初から3割ほどレアル安が進んだ(図1)。

ブラジルの主要株価指数ボベスパも新型コロナが響き、年初からの値下がり率が3割を超えている。中央銀行による利下げにもかかわらず、資金の流出懸念から国債などの債券も売られている。

■ブラジル関連ファンドも運用悪化

日本で販売されているブラジル関連ファンドもその影響を免れない。国内公募の追加型株式投資信託のうち、主要なブラジル関連ファンドの年初来リターン(分配金再投資ベース)を調べたところ、27日時点の純資産総額(残高)上位5本とも大幅なマイナスだった(図2)。

残高首位の大和アセットマネジメントが運用する「ブラジル・ボンド・オープン(毎月決算型)」(0431508B)は、27日時点の年初来リターンが29.3%のマイナス。同ファンドはブラジルレアル建ての債券に投資する毎月分配型で、かつて残高が7500億円を超す人気ファンドだった。

27日の決算では1万口あたり30円を支払った。前月までと同額を維持したものの、2008年11月の設定以降では最低水準。2009~13年にかけて毎月120円を支払っていた時期もあったが、運用不振に伴い段階的に分配金を減額してきた。

■分配金額は最低水準に

残高上位5本は全て毎月分配型。どれも直近決算で支払った分配金額は設定来で最も低く、このうち2本は過去1年以内に分配金を引き下げた。年初からの資金動向をみると、5本とも資金流出傾向にある。

年初来リターンの落ち込みが最も大きかったのは、残高4位の「野村日本ブランド株投資(ブラジルレアルコース)毎月分配型」(01313094)でマイナス40.1%だった。ほかの4本はブラジルレアル建ての債券や先進国のハイイールド債(低格付け債)が投資対象だが、このファンドは日本の株式に投資し、運用通貨をブラジルレアルにして為替差益の上乗せを狙う通貨選択型のファンドだ。

ブラジルだけでなく、経済基盤が脆弱な新興国は新型コロナウイルス感染拡大による深刻な影響が懸念されている。今回のコロナショックで新興国への投資リスクの大きさを改めて実感した投資家は多そうだ。

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