QUICK Market Eyes=阿部哲太郎
新型コロナの影響で企業業績の下方修正が相次ぐ中、先行きに明るい兆しが見える半導体関連銘柄。巣ごもりやテレワーク、コンテンツ視聴で世界のデータ量が増加しており、サーバー向けの投資は勢いを増している。次世代通信規格「5G」関連への投資も堅調であることが確認されるなか、半導体関連を物色する動きがみられる。
■デジタル以外の半導体の需要度が高くなる
あらゆるモノがネットにつながるIoTや、人工知能(AI)の本格化は半導体にある変化をもたらす。メモリー(記憶)やロジック(演算)のようなデジタルの世界で活躍する半導体だけではなく、IoTによって現実世界とデジタルの世界をつなぐ半導体の必要性が増していく。
例えば、画像をデジタル信号に変えるイメージセンサーのほか、音や光をデジタル信号に変換するセンサーやアナログの半導体であり、電力の変換や整流を行うパワー半導体だろう。これら非デジタルの半導体は今後さらに需要が高まるとみられる。
■化合物半導体に注目高まる
なかでも省エネや電力の安定稼働のためのキーデバイスであるパワー半導体の重要度は年々高まっている。さらに近年では従来のシリコン製からSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といった化合物を材料とした「化合物半導体」へのシフトが進みつつある。SiCはシリコンに比べて高電圧に強く、大きな電流を流しても熱として失われる電流が少なく、半導体自体も小型化できる。
このような特性から例えば電気自動車(EV)には、高性能な化合物製のパワー半導体が欠かせない。そのほかはGaNは高電圧に強いほか、 電子が早く流れるため高周波信号を扱うのに適した特性を持っている。5Gの基地局で使われるパワーアンプにはGaNが使われている。
シリコンは低コストで加工がしやすくデジタルのような微弱の電流を扱うのに向いている。化合物半導体は早くから研究が続けられていたが加工が難しくコストが高いことから普及が進んでいなかった。しかし今後はデバイスやモーターなど化合物の強みが生かされる場面が増えて普及が加速していくとみられる。
▼サムコ、住友電工、ローム、富士電機
関連銘柄としてサムコ(6387)を挙げたい。同社はLEDや高周波デバイス、化合物半導体などの非シリコン分野を強みとする半導体製造装置メーカーだ。住友電工(5802)はエレクトロニクス事業でGaNの基板材料を手がけている。
ローム(6963)はアナログやパワーマネジメントICと行った非デジタルのICを手がけており、SiCパワー半導体を原材料から自社生産しており、投資を続けている。
富士電機(6504)は重電の大手として小型から大型まで電力機器の老舗だ。電子デバイス事業では古くからシリコン製のパワー半導体を扱っている一方でSiCのパワー半導体への投資も続けている。
これらの銘柄の株価は足元で戻り歩調だ。TOPIXが年初来安値を付けた3月16日から直近5月7日までの株価を比較したところ、住友電工を除く3銘柄が市場平均(TOPIX)を上回った。化合物半導体に投資家の関心が向かい始めている。
【サムコ、住友電工、ローム、富士電機の株価とTOPIXを比較】
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