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JSR(4185) 新型コロナの影響で自動車分野を中心に需要が低迷。今期も大幅減益に

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2020/05/07)

・エラストマー部門は赤字拡大が避けられない見込み
 21/3期の連結業績について企業価値研究所では、売上収益が前期比8%減の4350億円、営業利益が同22%減の255億円を予想する。3月に20/3期の業績見通しを下方修正した際、21/3期の営業利益も455億円→390億円に引き下げていたが、これを一段と減額した。新型コロナウイルスの感染拡大による自動車分野を中心とした需要減退と市況悪化でエラストマー部門が赤字拡大を避けられない見通しに。デジタルソリューション部門では半導体材料が好調を維持しているが、ディスプレイ材料を中心にこれも見通しを引き下げた。ライフサイエンス部門は順調な伸びを見込むが、連結全体で苦戦を余儀なくされそうだ。続く22/3期には新型コロナの影響が収束し、主要製品の販売数量増で業績は大きく回復する見通し。

・前期は合成ゴムなどの需要低迷と採算悪化で苦戦
 20/3期の連結営業利益は前期比27%減の329億円で着地。ライフサイエンス部門が拡大する一方、エラストマー、合成樹脂の両部門が合成ゴムなどの需要低迷と採算悪化で苦戦し、連結全体で大幅な減益を避けられなかった。

・リスクファクター ~自動車やディスプレイ市場の動向

・アナリストの投資判断 ~足元の株価には割高感が強く、上値の重い展開を予想
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けた株式相場全体の急落に伴い、同社の株価も2000円台前半から一時1400円台まで下落。その後は世界的な半導体関連銘柄の復調と米アクティビストによる株式取得などが好感されて上昇し、ほぼ急落前の水準を回復した。直近では当研究所の今期予想連結PERで約26倍に達し、来期以降の業績拡大や株主還元強化への期待を考慮しても、過去の同社のレンジなどと比較して割高感が強い。当面は同社の過去の平均的な水準をやや上回る同22倍程度の評価が妥当であり、上値の重い展開になると予想する。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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