QUICK企業価値研究所アナリスト 小西慶祐(2020/05/08)
・自動車事業は一時生産停止で大幅営業減益を予想
会社側は、新型コロナウイルス感染症の影響で合理的な算定が困難とし、21/3期の連結業績計画を未定とした。企業価値研究所では、新型コロナは夏場までに収束し、下期から正常な経済活動に戻るとの前提を置き、21/3期の連結営業利益は前期比18%減の1050億円を予想する。自動車事業は、足元の一時的な生産停止の影響が大きいと想定。一方、産業車両事業は、アフターサービスなどのストック型ビジネスが収益の下支えになるとみた。前期に台風19号の被害に伴う一時的な費用を計上した反動もあり、相対的に小幅な減少率にとどまると見込んだ。
・23/3期に営業利益で過去最高更新を予想
続く22/3期以降は、期を通じて正常な経済活動が可能と想定、増益基調へ復帰し、23/3期に営業利益で過去最高を更新する見通しとした。自動車事業ではカーエアコン用コンプレッサーの拡販を見込むほか、産業車両事業では、先進国での労働力不足などを背景に、フォークリフトの需要拡大を予想。eコマース市場の発展による物流量の増大から、物流ソリューションの拡大も期待でき、両事業とも利益の回復・拡大が続くとみている。
・リスクファクター ~新型コロナ、トヨタの生産動向
・アナリストの投資判断 ~下期の経済活動正常化を前提に株価の持ち直しを予想
直近の株価に基づく、期を通じて正常な経済活動が可能と見込んだ翌22/3期の当研究所予想PERは10倍。同社の過去60カ月の平均PER12倍との比較では、割安感がある。当面は、新型コロナの影響長期化には注意を要するが、産業車両事業ではアフターサービスなどストック型ビジネスが収益の下支えになるとみたほか、下期からの自動車事業の生産正常化などに沿って、株価も緩やかに持ち直す展開を予想する。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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