QUICK Market Eyes=弓ちあき
全国規模で新型コロナウイルスに対応した緊急事態宣言が解除された。予断を許さない状況である反面、経済活動の再活性化が重要なテーマとなってくる。政府の経済対策もいよいよ実行段階に入る中、消費者の行動変容と共に株主優待の価値も影響を受ける。
■コロナ禍での株価低迷が利回りを押し上げている
5月末を基準日とする株主優待の最終権利付き売買日が27日に迫っている。5月末基準日に株主優待を実施している企業は29社で、優待利回りのトップはネクスグループ(6634)だった(図1)。
子会社が手掛けるネットでの旅行見積もりの割引きや温泉旅館の宿泊割引券の優待を実施しているため、金額換算した利回りは高めになりがちだ。また収益源の1つであるネット旅行事業は新型コロナウイルスによる需要減が予想されることもあってか、株価が低迷していることも利回りを押し上げる要因になっている。5月末に権利確定を迎える銘柄のうち、新型コロナの影響が深刻化した3月以降、22日までの値動きを見ると、26銘柄が上昇した一方で3銘柄が下落。ネクスGは1.9%安で、数少ない下落銘柄の中に入っている(図2)。
■小売企業が健闘
とはいえ全体では相場全体の復調もあってか、総じて健闘している印象だ。5月期決算企業が多いため、今期決算で新型コロナの影響が免れない場合も多いとみられるものの、株主優待が一定の下支えに働いている可能性もありそうだ。また3月以降の株価上昇の上位には小売企業が散見され、健闘が目立っていることも注目したい。
上昇率首位の大光(3160)は業務用食品の卸売りが主力事業ではあるものの、個人向けに業務用食品の販売も行っており、株主優待ではクオカード、もしくは業務用スーパー「アミカ」で使える商品券がもらえる。商品券の場合はクオカードの倍額がもらえるため、100株保有していた場合クオカードは500円分、商品券ならば1000円分がもらえる。
また大黒天物産(2791)はディスカウントストアを展開し、優待では保有株数に応じて岡山県産のぶどうがもらえる。ドラッグストアを展開するクリエイトSDホールディングス(3148)やコスモス薬品(3349)は買い物優待券(コスモス薬品はおこめ券も選択可能)、100円ショップのキャンドゥ(2698)も買い物に使える優待券がもらえる。
いずれも不要不急の商品を扱っているほか、小売りでも生活防衛意識が高まる中で強みを発揮する傾向の強い顔ぶれが目立っている。これまでの相場環境を踏まえると、優待で目先のお得感も得られた上で株価も堅調に推移し、一挙両得感がある印象だ。
なお、新型コロナの影響が警戒されてはいるものの、大江戸温泉リート投資法人(3472)は5口以上を保有する株主を対象に1000円相当のホテル宿泊利用券を贈呈する。9月1日から21年8月31日までチェックインの宿泊に使える予定となっており、まだ予断は許さないとはいえ、状況が許すならば秋のレジャーの一助になるかもしれない。
■優待の廃止に踏み切る企業も
ただ企業にとってコストである株主優待の継続を巡っては、今後慎重にならざるを得ない企業が増えてくる可能性には注意したい。5月に入って新型コロナによる経営環境の悪化などで廃止に踏み切る企業が出ている(図3)。
これまでも優待を巡っては公平な株主還元の観点から議論の対象になってきたことは否めない。配当を優先させるため、廃止には至らずとも優待の規模を縮小したり、対象を長期保有や大株主に絞ったりするなどの動きが出てくる可能性もある。また不安定な相場を警戒してか、「逆日歩」が発生している企業が多いため、つなぎ売りのコスト負担も要注意だ。
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