【QUICK Money World 辰巳 華世】2025年1月20日に第2次トランプ政権が発足しました。トランプ大統領が掲げる政策を受けて脚光を浴びる、日本の銘柄について紹介します。
トランプ大統領が打ち出した主な政策
トランプ大統領は「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げ、多くの政策を打ち出しています。就任早々に、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱を決めたり、不法移民対策として南部国境の緊急事態を宣言したりしました。
関税政策は、世界中の景気に影響することもあり、大きな注目を集めています。トランプ大統領は、関税政策として米国の製造業を保護するため、輸入品に対する関税の引き上げを提案しています。カナダとメキシコからの輸入品に25%の追加関税を課す大統領令に署名しています。また、外国が米製品にかけている関税と同水準まで米国の税率を引き上げる「相互関税」の導入を指示しました。輸入自動車に関する関税や、鉄鋼・アルミニウム製品、半導体や医薬品など多くの分野で追加関税を導入する方針で動向が注目されます。
関税政策以外にもトランプ政権が掲げる政策では、人工知能(AI)巨額投資や仮想通貨の推進、エネルギー政策、国際関係など多岐に渡ります。一つずつ見てみましょう。
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AI投資の関連銘柄
トランプ政権は、経済の最重要課題としてAI戦略を掲げています。バイデン前大統領が出したAI規制に関連する大統領令を撤回し、AIや半導体産業への巨額投資を通じて、技術革新と経済成長を促進していく方針です。ソフトバンクグループ(SBG)や米オープンAIなどが5000億ドル(約78兆円)を投資し、AIに使うインフラを米国で整備します。石破政権もトランプ大統領との首脳会談でAIと半導体の日米共同開発を推進することで合意しています。
トランプ政権でのAI投資に関連して、国内銘柄ではSBGを中心にAI関連銘柄の関心が広がっています。生成AI向け半導体関連銘柄やデータセンター関連が注目されています。
<AI投資関連銘柄>
銘柄名 | コード | 内容 |
SBG | 9984 | 米国での巨額AI投資 |
フジクラ | 5803 | データセンター向け電力や電線需要 |
古河電 | 5801 | データセンター向け電力や電線需要 |
ディスコ | 6146 | 生成AI向けの高性能半導体 |
アドテスト | 6857 | 生成AI向け半導体試験装置 |
暗号資産(仮想通貨)の関連銘柄
トランプ大統領は、暗号資産(仮想通貨)の利用を促進する大統領令に署名しました。6ヶ月以内に仮想通貨の規制の枠組み提案をする予定です。また仮想通貨を国家として備蓄することも検討します。
トランプ政権の暗号資産推進を受け、国内銘柄の暗号資産関連が注目を集めています。
<暗号資産(仮想通貨)関連銘柄>
銘柄名 | コード | 内容 |
リミックスポイント | 3825 | 暗号資産事業 |
メタプラネット | 3350 | メタバース関連事業 |
ネクスグループ | 6634 | 暗号資産・ブロックチェーン事業 |
マネックスグループ | 8698 | 暗号資産事業 |
暗号資産関連銘柄についてはこちらの記事でも紹介しています。
防衛関連銘柄
トランプ大統領はかねて、同盟国に防衛費の増額や自主防衛の強化を求めています。日本は防衛力の強化を掲げ、防衛関係予算を2027年度までに国内総生産(GDP)比で2%にする方針を決めています。石破茂首相とトランプ米大統領による首脳会談での共同声明で、日本が27年度以降も防衛力を抜本的に強化することを米国が歓迎するとし、さらなる増額を示唆しました。
トランプ政権による同盟国に防衛負担増を求めるとの観測を受け、国内では防衛関連銘柄に関心が広がっています。
<防衛関連銘柄>
銘柄名 | コード | 内容 |
三菱重工業 | 7011 | 防衛事業 |
川崎重工業 | 7012 | ブルーインパルス開発製造 |
IHI | 7013 | ジェットエンジン生産の高シェア |
日本製鋼所 | 5631 | 防衛機器事業 |
まだまだある!トランプ関連銘柄
ここまで取り上げた3テーマ以外にもトランプ政策はあります。トランプ大統領は、環境対策に後ろ向きとの批判を浴びながらも、石油や天然ガスなど化石燃料の開発拡大を進める方針です。バイデン政権下では、脱炭素の流れから太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーに注目が集まりましたが、トランプ政権ではエネルギー政策の転換から石炭関連銘柄などへの株式市場の注目が移りそうです。石炭関連銘柄では、住石ホールディングス(1514)、三井松島ホールディングス(1518)、日本コークス工業(3315)などがあります。
トランプ政権では世界中の景気に影響を与える関税政策に注目が集まっています。ソーシャルメディアを駆使するトランプ大統領がいつ、どのような発言をするか不透明なこともあり、輸出関連銘柄への影響も読みにくい状況です。そういった意味で、トランプ関税政策の影響を受けにくい、小売や外食、サービスといった内需関連銘柄に注目するのも一つの手です。インバウンド(訪日外国人)などを意識して家電量販店のビックカメラ(3048)、百貨店の高島屋(8233)、ドラッグストアのマツキヨココカラ&カンパニー(3088)、ウエルシアホールディングス(3141)、ディズニーランドを運営するオリエンタルランド(4661)などがあります。
まとめ
トランプ大統領は「米国第一主義(アメリカ・ファースト)」を貫くべく、多くの政策を打ち出しています。株式市場では、トランプ関連銘柄としてAI投資の関連銘柄、暗号資産(仮想通貨)の関連銘柄、防衛関連銘柄などが注目されています。世界の景気に大きく影響する関税政策が今後どう展開するかは不透明な部分が多く、世界中の投資家がトランプ大統領の発言を注意深く見守っている状態です。引き続き、トランプ政権の政策運営に注目していきましょう。
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