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先進国株 vs 新興国株、コロナ禍で優位なのは?

2020年も6カ月が過ぎ、ここまでを振り返ってみると新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が世界中に拡大し株式相場を大きく下押しした半年間だった。業績が比較的にコロナの影響を受けにくいとされる「ハイテク株」が一人勝ちの様相で、日本株も相対的には良好な結果をみせ、日米株には「実体経済と乖離」も警戒される。ただコロナの収束が見通せず、政策余地に限りのある新興国の状況を踏まえると、先進国株優位な展開は続きそうだ。

■ハイテク株の上昇は続く

新型コロナの感染第2波の広がりも懸念される中、業績がコロナの影響を受けにくいとされるハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が引き続き一人勝ちになった。米国では感染拡大の勢いが増しており、新規感染者は足元で4万人弱と、過去最多の更新を続けている。テキサス州やフロリダ州ではバーや飲食店の営業規制を再開するなど、今後のさらなる強化も見込まれ、影響の受けにくい企業とそうでない企業の業績の差が鮮明になりそうだ。米連邦準備理事会(FRB)は6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、少なくとも2022年末までゼロ金利を維持する長期の金融緩和方針を表明し、パウエル議長は「米経済の先行きは極めて不透明」として、今後のFOMCで量的緩和の拡大など3つの追加策を検討する考えを示した。その流れを受け市場では長期金利が低下し、投資家は流動性相場が続くことへの自信を深め、金利低下で株価収益率(PER) が高いハイテク株の投資妙味が増すとの見方が優勢となり、ナスダック 指数は、終値で初めて1 万を超え高値を更新した。目先の米国市場では新型コロナウイルスとは一線を画していると言える好業績のハイテク株の上昇が続きそうだ。

※年初来の期間騰落率:ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が一人勝ち
※ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が一人勝ち

■政策余地の小さい新興国

年初からの新興市場は、2008年の世界金融恐慌を含む最近の危機の中で最も大きい資金流出を経験した。国際金融協会(IIF)によれば、世界的に新型コロナが感染拡大し、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどからなる「OPECプラス」の原油減産交渉が失敗した3月だけで約830億ドルという過去に類を見ない流出が起きた。当初はアジアの新興諸国が特に影響を受けたが、感染の拡大に伴い、他の新興諸国も同様に深刻な影響を受けていった。インドとブラジル、ロシアの株式指数の年初からの下落率は15%以上となった。モルガン・スタンレーMUFG証券は先進国株に対して新興国株が引き続きアンダーパフォームするとみている。 国として政策・資金調達の余地が小さいことに加え、 企業単位では負債比率が高く、キャッシュフロー、設備投資、資本調達に対するキャッシュ・コンバージョン・サイクルリスクにつながっている。また08年と比較した相対的な規模・構造を考慮すると、中国の景気刺激策からコモディティ輸出国が受ける波及効果は少ないという。

※インド、ブラジル、ロシアの株式指数:年初からの下落率は15%以上
※インド(黄)、ブラジル(緑)、ロシア(青)の株式指数:年初からの下落率は15%以上

■9割方まで戻った日本株

日本株については引き続き有力視されている。モルガン・スタンレーMUFG証券は、アジアのカバレッジ対象の中では、引き続き日本株を選好している。事業や財務の再構築(リストラクチャリン グ)の進展とアジア企業の中での優れたバランスシートを背景に、減配が少ないとされるよりディフェンシブな1株当たりの配当金(DPS)や一株当た利益(EPS)を実現すると予想している。年初来では9割方の水準まで戻した日本株だが、足元の状況に関して野村証券によれば、目先は第2波リスクが相場の重しとなりやすく、CTA(商品投資顧問)の予防的な株ロングの解消やドル円のショートの積み増し、消去法的なバリュー売り・モメンタム買いなどが期間限定で発生しているという。背景にはこれまで日本株センチメントの改善を促したアジア・太平洋(APAC)景気サプライズ指数の回復が中断していることがあるようだ。同サプライズ指数の失速は急回復の反動というテクニカルな色彩が強く、CTAのロングが一掃される水準は2万1000円程度とみられ、8月中旬のCTAによるドル円ショートカバーのタイミングが近づけば、「日本株市場も再びシクリカル業種がけん引役となる展開へと復帰する」可能性があるとの見方を示した。

IMFは6月25日に公表した報告書で、日米の株価上昇に対して「実体経済と乖離(かいり)しており、割高感がある」と警戒感を示した。同報告書では中国やユーロ圏の株価水準も割高感が強いとする結果が示されている。しかし、先進国の景気刺激策の方がより強力であり、相対的な財務余力から追加の施策が期待される環境にあって、北部アジアを除く新興国での新型コロナウイルスの感染拡大や被害が大きいことを考えると、引き続き先進国株が買われ、新興国株が出遅れる環境が継続しそうだ。QUICK Market Eyes 川口究)

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QUICK Market Eyes 川口 究


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