新型コロナウイルス感染拡大の影響で大荒れとなった2020年前半の株式相場。投資信託を運用する投資のプロたちも前例のない状況への対応にてんてこ舞いだった。有力ファンドは半年間で組み入れ銘柄をどう入れ替えたのか。月次レポートをもとに「ビフォーアフター」を検証した。
今回取り上げるのはゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの「netWIN GSテクノロジー株式ファンド」(Aコース=3531199B、Bコース=3531299B)。テクノロジーの発展により恩恵を受ける米国企業の株式に投資するファンドで、1999年11月に設定され運用実績が20年を超える長寿ファンドだ。
■7月に設定来高値、上位銘柄はほぼ変わらず
6月末時点の年初来リターン(分配金再投資ベース)は為替ヘッジありのAコースが14.0%、ヘッジなしのBコースが12.7%のプラス。どちらも基準価額は3月17日につけた年初来安値から4割以上も上昇した。7月にはそれぞれ設定来高値を更新するなど、コロナショックの後にむしろリターンを伸ばしている。
そんな「ネットウィン」の組み入れ上位銘柄は、半年前とほとんど変わっていない。20年6月末時点の上位10銘柄を19年12月末時点と比べると、新たに加わったのは1銘柄のみ。オンライン決済サービスのペイパル・ホールディングス(3.9%、PYPL)だけだった。
組み入れ比率の1位は半年前と同じマイクロソフト(9.2%、MSFT)。2位はアップル(8.3%、AAPL)、3位はグーグルの親会社アルファベット(8.0%、GOOG)と、世界の時価総額上位のIT(情報通信)大手がずらり並んだ。セクター別の構成比率もほぼ変わらず、情報技術やコミュニケーション・サービスの比率をやや増やす一方、一般消費財・サービスや不動産を減らした。
■テクノロジーの発展、想定以上に加速
6月18日付の臨時レポートでは、アフターコロナの世界について「ビジネスや生活様式は大きく変わり得るとみられ、関連するテクノロジー産業は社会構造の変化から長期的な成長が見込まれる」と予想。新型コロナウイルス感染拡大を受けて、従来の想定以上にテクノロジーの発展が加速するとの見通しを示した。
高い成長が見込めるセクターには、Eコマース・デジタル決済、クラウド・インフラ、クラウド経由で提供されるソフトウェア・サービスのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の3つを挙げた。それぞれの具体的な関連銘柄としては、上位に組み入れているアマゾン・ドット・コム(AMZN)、マイクロソフト、アルファベットなどに言及した。
最新の月次レポート(6月30日時点)でも、組み入れ上位銘柄への強気な見方を維持している。アマゾンについては、コロナ禍での外出制限で「Eコマース事業が恩恵を受ける」と指摘。マイクロソフトが手掛けるソフトウエアやクラウドサービスも「リモートワークの継続で需要が高まる」との見方を示した。(QUICK資産運用研究所=竹川睦)