日本の外食企業が海を越える挑戦を続けている。「カレーハウスCoCo壱番屋」を展開する壱番屋(7630)はこのほど、カレーの本場インドに1号店を開いた。これまでの外食企業の海外進出は、明暗が分かれている。「ココイチ」が日本式のカレーでどこまで勝負できるか、熱い視線が注がれる。
■カレーの本場を攻略
壱番屋が出店したのは、首都ニューデリー近郊の複合施設。世界的な企業のオフィスや飲食店が入居しており、オフィスで働く会社員や30代前後の客層に狙いを定める。昨年6月に三井物産(8031)の子会社と共同出資会社を設立し、出店の準備を進めてきた。
提供するメニューは基本的には日本で提供しているものと変わらない。ただ、インドにあわせた工夫も一部施した。宗教上の理由や食習慣から、カレーのルーやトッピングには牛肉や豚肉を使わない。インドはベジタリアン(菜食主義者)が多いため、「ベジタリアン向けとノンベジタリアン向けのメニューを用意した」(壱番屋の経営企画室)という。海外で186店舗を展開するノウハウを駆使して、カレーの本場を攻略する。
■日本式と現地化
もっとも、本場の壁は高いかもしれない。外食の海外展開を振り返るとペッパーフードサービス(3053)の米国事業がある。運営するステーキ店「いきなり!ステーキ」は2017年にステーキの本場、米ニューヨークに進出したが、安さと手軽さが米国人には響かなかった。業績不振が続き、7月には米国事業を運営する子会社が米連邦破産法7条に基づく破産を申請した。
一方でくら寿司(2695)の米国進出やトリドールホールディングス(3397)が展開するうどん店「丸亀製麺」の米ハワイ出店のような成功例もある。外食業界に詳しいいちよし経済研究所の鮫島誠一郎氏は、海外での成功には「『日本式』だけでなく、ローカライズ(現地化)したメニューの開発も必要だろう」と指摘する。〔日経QUICKニュース(NQN)北原佑樹〕