8月末時点の国内公募投資信託の純資産総額(残高)はQUICK資産運用研究所の推計で126.16兆円となり、過去最高を更新した。コロナショックの影響で今年3月に106兆円台まで減少していたが、世界の主要な株式相場が急回復してきたことで運用益が増え、9カ月ぶりに記録を塗り替えた。
内訳を見ると、上場投資信託(ETF)の残高の伸びが顕著となっている。ETFの残高は8月末時点で47.11兆円となり、3カ月ぶりに過去最高を更新した。日本銀行が3月16日の金融政策決定会合でETFの買い入れ額を年間6兆円から12兆円に増額。8月の買い入れ額は月間2000億円程度と少なめだったが、残高は拡大傾向にある。
一方、ETF以外の投資信託の残高は8月末時点で79.05兆円となり、前月比で2.6兆円増加したものの、これまでの最高(2015年5月末の88.11兆円)を下回っている。このところ米国の成長企業の株式を組み入れるファンドやESG(環境・社会・企業統治)に関連したファンドへ資金が流入しているものの、長期で見ると残高の伸び悩みが続いている。
(QUICK資産運用研究所=石井輝尚)