直近の日本株の物色動向を見ると、海外で米国や中国の経済指標が好転しており、国内の新型コロナウイルスに対するピークアウト感もあり、景気回復や経済活動再開で恩恵を受ける業種が優位となっている。
■鉄道株への関心高まる
国内で新型コロナウイルス感染がピークと目され、日経平均株価が一時2万2000円を割り込んだ7月末から直近までの業種別の騰落率上位を見ると、空運やサービス、陸運なとの人やモノの移動に関わる業種が上位となっていることがわかる。これらの業種は年初来との比較では未だ2割安程度の水準となっている。
市場関係者の個別銘柄のピックアップにも同様の傾向が見て取れる。QUICKエクイティコメントが9月18日に集計した来週の注目銘柄で 複数票を集めたのは東日本旅客鉄道(9020、JR東日本)と野村総合研究所(4307)だった。JR東日本は16日に非開示だった2021年3月期通期の連結最終損益が1987年の民営化以降で最大の赤字になる見通しと発表し、売られた。ただ、「GoToトラベル」の東京の対象追加の恩恵や織り込み済みとみて戻りを期待する向きが多かった。このほか小田急(9007)、東海旅客鉄道(9022、JR東海)、西鉄(9031)も同様に得票となり、鉄道株への関心が高まった。
■業績は厳しい
しかし鉄道大手各社の足元の業績は厳しい。西日本旅客鉄道(9021、JR西日本)は、16日大引け後に新型コロナウイルスの影響で未定としていた2021年3月期の連結営業損益が2900億円の赤字になりそうだと発表した。年間の配当予想を1株100円と前期の182.5円から大幅減配となった。21年3月期は、売上高が前期比39%減の9200億円、営業損益が同2900億円の赤字転換(前期は1606億円の営業黒字)を見込む。 新型コロナウイルスによる外出自粛や訪日外国人客減が響いた。同日にJR東日本(9020)も21年3月期の連結営業損益が5000億円の赤字を見込むと発表した。
8月末時点のアナリストの平均であるQUICKコンセンサス純利益予想(5社以上)の集計によると、3カ月前の予想純利益と比べて下方修正率がもっとも大きかった銘柄は、JR東海(9022)だった。上場JR4社の中で、最も出張や観光といった定期外利用が大きいため、新型コロナウイルスによる影響を大きく受けた。
■新幹線利用状況は改善傾向
ただし、月次の新幹線利用状況には、やや底入れ感も出てきている。JR東海やJR西日本が月次で発表している東海道・山陽・北陸の各新幹線の利用状況を見ると、各路線ともに4~5月の前年同月比9割減から9月時点の最新データでは、同6割減となった。前年同月比での大幅減は続くものの減少率は改善傾向となっている。10月より「GoToトラベル」キャンペーンに東京発着分が対象となることもあり、先行きの改善に期待が高まる。人の流れの復調は鉄道株だけで無く、小売りやサービスなど内需系の様々なセクターに恩恵が及ぶことから月次動向には引き続き注目が集まりそうだ。(QUICK Market Eyes 阿部哲太郎)
<金融用語>
QUICKコンセンサスとは
証券会社や調査会社のアナリストが予想した各企業の業績予想や株価レーティングを金融情報ベンダーのQUICKが独自に集計したもの。企業業績に対する市場予想(コンセンサス)を示す。一方、「QUICKコンセンサス・マクロ」は、国内総生産や鉱工業生産指数など経済統計について、エコノミストの予想を取りまとめたものをいう。 QUICKコンセンサスを利用したものとして、QUICKコンセンサスと会社予想の業績を比較した「QUICK決算星取表」や「決算サプライズレシオ」、QUICKコンセンサスの変化をディフュージョン・インデックス(DI)という指数にした「QUICKコンセンサスDI」などがある。また、「QUICKコンセンサス・プラス」は、アナリストの予想対象外の銘柄に会社発表の業績予想などを採用して、国内上場企業の業績予想を100%カバーしたものをいう。