アパレル大手のTSIホールディングス(3608)が10月5日にオンラインで開催した2020年3~8月期(第2四半期)連結決算の説明会では「統合」「デジタル化」「来期」などが焦点になっていたことがわかった。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
20年3~8月期は、新型コロナウイルスによる店舗閉鎖や消費の手控えの影響が大きく、売上高は前年同期比31%減の562億円だった。営業赤字は同104億円と前年同期の1億6400万円から大幅に拡大した。売上高の減少や春物の在庫処分の推進に伴う値引きにより粗利率が悪化した。巣ごもり消費などでEC(電子商取引)は同18%増の194億円と伸びたが、補えなかった。
上田谷真一社長は、業績回復に向けた中期の戦略について事業会社の1社統合を進める方針を改めて示した。「デジタル化を徹底的に進めて、まず損益分岐点を下げる」「今までバラバラにやっていたものを、経営のスピードを上げる」として間接業務をすべてデジタル化し、投資の原資を生み出せる構造を目指すとした。
さらに店舗や販売員も販売支援ツールなどでデジタル化を推進する。ネットとリアル店舗のデータを統合した「ユニファイドコマースを実現できる店舗に変えていく」と強調した。
もっとも、20年9月以降も事業環境は厳しく、これまで非開示としていた21年2月期の営業損益は前期の7000万円の黒字から178億円の赤字に転落する見通しだ。上田谷社長は「来期以降に向けて完全に会社を復活させるため、大きな赤字を出すことを決めた」と説明し、人件費の削減や事業や店舗の撤退により構造改革を進めるとした。
アナリストやマスコミの質問では好調なECの動向に関心が集まった。上田谷社長は「当社はプロパー(正規価格)品を中心に売っているので、ECも今伸びているのはプロパーのところ」とし、「値段の高いブランドから比較的モデレートなブランドまで年齢にかかわらずEC経由で買って頂いている」と回答した。(QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎)