株主優待制度は1980年代から実施
「この夏に『株主優待品のラーメンがおいしかった。ありがとう』という手書きのかわいらしい感謝のお手紙を株主のお子さまからいただきました。喜んでいただける優待品をお届けしていこうという励みになります」と語るのは、日清食品ホールディングス 総務部の荻野 栞氏。
同社は、1980年代から株主優待制度を導入している。開始当初は、フライパンや鍋などの食に関するグッズや、創業者である安藤百福氏の著書などを提供していた。株主の要望を反映し、徐々に自社商品の詰め合わせを提供する形に変わっていった。2011年には、国連世界食糧計画(WFP)への寄付を選択できるようにした。株主優待制度を導入した目的は、株主の日ごろの支援に対する感謝、株主への商品の理解を深めてもらうためで、現在も自社グループ商品の提供を継続している。2017年に長期保有優遇制度を導入、その対象となる株主は、徐々に増えている。個人株主数は、2000年からの比較で3倍(46,653人:2020年3月末時点)になった。
優待品の自社グループ商品・「ひよこちゃんオリジナルグッズ」が人気
株主優待品で提供している自社グループ商品は、定番商品(日清食品:カップヌードル・どん兵衛、明星食品:一平ちゃん夜店の焼そば、日清シスコ:ごろっとグラノーラ、ココナッツサブレ)を入れている。また、定番商品とは一風変わった新商品も加えている。例えば、2020年夏は「汁なしどん兵衛釜たま風うどん」を提供した。
また、優待品にふくまれる「ひよこちゃんオリジナルグッズ」も人気だ。300株以上保有の株主向けに提供される1,500円相当の「ひよこちゃんオリジナルグッズ」は、株主優待限定の非売品。毎回、株主優待の担当者がどのようなグッズを提供するか知恵を絞っているという。2014年より前は、「ひよこちゃん」のぬいぐるみを提供していたが、株主から違うグッズもほしいという声が出たことで、限定グッズの提供に改めた。これまで、保冷バッグ、どんぶり、ブランケットなどを製作してきた。
保有株が300株未満の株主からも、「ひよこちゃんオリジナルグッズ」を要望する声はこれまでも多かった。このことから、2020年夏より100株以上保有の株主に、「ひよこちゃん」の絵柄付きフードコンテナーの提供を開始した。今後も絵柄を変えたフードコンテナーの提供を続けていく予定だという。
これらの優待により「長期保有の株主様が徐々に増えております。株主優待品がいつも同じでは面白みがありませんので、株主のみなさまに常に喜んでいただけるよう試行錯誤を続けていこうと考えております」(荻野氏)と、株主にとって今後も期待が膨らむ。
2020年冬、株主優待申込みのWeb対応を開始
株主優待品の申込みは、これまで株主からのハガキ返信による受付で対応してきた。2020年冬より、株主優待申込みの専用Webサイト「日清食品ホールディングス・プレミアム優待倶楽部」による受付を開始する。株主は、株主優待の申込みを、ハガキ返信とWeb申込みの2つから選択できるようになる。
さらに、Web申込みの場合に限定で、「製品の詰め合わせ」を複数のメニューから選択できる特典をつけた。この特典は、「株主優待品の選択肢を増やしてほしい」という株主からの声に対応したものとなっている。さらに、Webで「製品の詰め合わせ」を申込みの株主は、「ひよこちゃん特製クリアファイル」がプレゼントされる。
Webやメルマガを使って個人株主向けIR強化
株主優待申込みのWeb対応をはじめることをきっかけに、株主向けに新たにIRニュースのメルマガ配信を始める予定だ。これまでより一歩進んだコミュニケーションをして行くという。
また、例年、個人株主向け会社説明会を各地で開催しているが、今年は新型コロナウイルスの影響でそれが難しい。2018年よりオンライン会社説明会を実施しているが、今年は、そうしたイベントに力をいれていくという(12月上旬開催予定)。オンライン会社説明会は、リアルタイム配信とアーカイブ配信(開催後、半年ほど配信)を行っており、「リアルタイム配信の視聴者は3000人ほど」(総務部 髙橋 正和氏)だという。オンライン会社説明会の実施時間は全体で1時間ほど。半分の時間は、個人株主と経営陣の双方向オンライン会議だ。個人株主からチャットで寄せられた質問を、経営陣が直接回答する形式で行っており、毎回活発なやり取りが行われるという。
残りの時間は、会社説明のオリジナル動画を配信している。事業報告、戦略についての動画は、かなり力を入れて制作しているものだという。「日清食品グループの概況をユニークな形でお伝えしております。個人株主のみなさまには、動画から日清食品グループの“今”を感じ取っていただければと考えております」(荻野氏)と話す。
日清食品ホールディングスは、株主優待に加えてWebやメルマガを通じて、商品を愛するファン株主との関係強化に取り組もうとしている。
≪優待内容≫
下記(1)もしくは(2)を選択できる。
(1)当社グループ会社の製品詰合わせ
(2)国連WFPへの寄付
【年1回(3月末)】
100株以上 300株未満
(1)3,000円相当
(2)3,000円
【年2回(3月末・9月末)】
300株以上1,000株未満
(1)3,500円相当+1,500円相当のひよこちゃんオリジナルグッズ
(2)3,500円
1,000株以上3,000株未満
(1)4,500円相当+1,500円相当のひよこちゃんオリジナルグッズ
(2)4,500円
3,000株以上
(1)5,500円相当+1,500円相当のひよこちゃんオリジナルグッズ
(2)5,500円
※1回あたりの金額を記載。
≪割当基準日および贈呈時期≫
3月31日現在の株主:7月~8月予定。
9月30日現在の株主:12月予定。
~長期保有優遇制度~
300株以上1,000株未満、または1,000株以上3,000株未満を3年以上継続して保有し、7回連続して同一株主番号で株主名簿に記載された株主には、ワンランク上の株主優待品にグレードアップとする。
300株以上1,000株未満
(1)4,500円相当+1,500円相当のひよこちゃんオリジナルグッズ
(2)4,500円
1,000株以上3,000株未満
(1)5,500円相当+1,500円相当のひよこちゃんオリジナルグッズ
(2)5,500円
※直近7回の基準日における保有株式数が一度でも300株または1,000株を下回った場合、長期保有優遇制度の対象外となる。
※証券会社の貸株サービスを利用している場合は、長期保有優遇制度の対象外となる。
※100株以上300株未満を保有している株主、および3,000株以上を保有している株主については、3年以上継続して保有している場合でも株主優待品のグレードアップはない。
即席めんメーカー最大手。「チキンラーメン」や「カップヌードル」、「日清ラ王」、「日清のどん兵衛」、「日清焼そば U.F.O.」などの有力ブランドを多数展開。傘下の明星食品では「チャルメラ」等を扱う。
即席めんのほか、「日清カレーメシ」などのカップライスやスープ等も販売。チルド(冷蔵)や冷凍食品にも力を入れており、ラーメンや焼そば、うどん、そば、パスタなど幅広く展開。「ピルクル」等の乳飲料、「ぼんち揚」などの菓子、シリアル、健康食品など様々な商品を扱う。海外進出にも積極的で、中国、東南アジア、インド、北米、南米、欧州など幅広い地域で事業を展開。
<売上構成>(20/3期連結、外部顧客への売上高): 即席めん事業51%(日清食品43%、明星食品8%)、低温事業12%、米州地域14%、中国地域9%、その他(菓子・飲料事業、アジア地域、EMEA地域など)14%。地域別では国内73%、海外27%。
1948年、大阪府に中交総社を設立。49年、サンシー殖産に商号変更。58年、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を開発。日清食品に商号変更。70年、米国にニッシンフーズ設立、以降海外展開を推進。71年、「カップヌードル」を発売開始。2006年、明星食品に資本参加。08年に持株会社制へ移行し、現商号に変更。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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