米ニューヨーク・タイムズ紙は15日、新型コロナウイルスの米国内の感染者数が15日に1100万人を超えたと報じた。1000万人を突破したのはわずか1週間前。過去1週間の1日あたり新規感染平均が14万5千人に増加。48州で感染ペースが加速し、14日平均を80%上回ったとしている。
コロナ感染が深刻化した今年3月中旬。パニック買いで全米のスーパーマーケットで長期保存できるパスタやコメが売り切れ、トイレットペーパーをはじめ生活必需品が商品棚から消えた。ロサンゼルスでは、食料品は1カ月ほどで元に戻り、トイレットペーパーが7月頃から買えるようになった。マスクとハンドサニタイザーは飽和状態だ。ただ、定番の除菌製品はいまだ入手困難な状況が続いている。
コロナ感染が深刻化する前から米国では2つの除菌ワイプが定番だ。家庭内の幅広いモノを消毒する濡れティッシュのClorox(クロロックス)とLysol(ライソル)。それぞれ除菌スプレーなどもある。前者は米カリフォルニア州に本社を置くクロロックス・カンパニーの商品、後者は英レンキット・ベンキーザーの米国ブランド。この2つのブランドはスーパーマーケットの商品棚に戻っておらず、アマゾン・ドッコムでたまに売り出されても短時間で売り切れる。
米CBCニュースは、コロナ感染増でクロロックスとライソルの除菌ワイプを販売する詐欺サイトが横行していると報じた。米連邦取引委員会(FTC)は少なくとも25のウェブサイトが「在庫あり」と偽り商品を販売しているとして調査中だとしている。一方、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、ライソルとクロロックスの除菌製品の入手が困難な中、プロクター&ギャンブル(P&G)の「マイクロバン24」と呼ぶ新しい除菌スプレーが大ヒットしていると伝えた。
近所の量販店、ターゲットに行ってみた。ライソルとクロロックスの商品棚はカラだったが、「マイクロバン24」は在庫があったので買い物カートに入れた。5分後に戻ると売り切れていて驚いた。アマゾンで検索するとターゲットの価格の約3倍で売られていて、新たな入手困難製品になっていることがわかった。
トランプ米大統領は13日の記者会見でロックダウン(都市封鎖)措置は導入しないと述べた。米大統領選で当選が確実になったバイデン氏はコロナ対策を最優先課題にしているが、就任は来年1月20日。連邦政府主導の感染抑制策は当面期待できない。パンデミック(疾病の大流行)が連日報じられている影響もあり、最近になりトイレットペーパーの定番ブランドであるP&Gの「チャーミン」が品薄になった。ライソルとクロロックスの除菌ワイプが買えるのはさらに先になった可能性がある。
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Market Editors 松島 新(まつしま あらた)福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て2011年からマーケット・エディターズの編集長として米国ロサンゼルスを拠点に情報を発信