来週(11月30日~)の上場REIT(不動産投資信託)市場を展望するために、QUICKが今週配信したREIT関連ニュースを振り返った。ホテル系REITの月次動向は改善基調だが、市場の反応はまちまち。ホテルの追い風となっていた政府の観光支援策「GoToトラベル」キャンペーンについて、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が再び増加傾向にあることから見直しが進む可能性が警戒されているようだ。来週、REITの決算発表は予定されていない。
今週の主要REIT指標の騰落率は以下となる。REIT相場全体は堅調で、「オフィス」が上昇のけん引役。一方、「物流」が軟調だった。
銘柄名 | 騰落率(%) |
東証REIT指数 | 1.03 |
東証REITオフィス | 1.96 |
東証REIT住宅 | 0.47 |
東証REIT商業 | 0.26 |
東証REIT物流フォーカス | -0.95 |
■ADR(3269)― 反落 大手証券が投資判断「バイ」に引き上げるも(11/24)
アドバンス・レジデンス投資法人(3269)が反落。日経平均株価が600円を超す上昇となっており、物色の柱が主力銘柄にシフトしているようだ。
野村証券がアドバンス・レジデンス投資法人(ADR、3269)の投資判断を前回の「ニュートラル」から「バイ」に変更したようだ。ADRの株価は、賃貸住宅市況が変調するとの懸念が台頭した8月初旬から11月18日までに11%下落しており、同期間に1%上昇している東証REIT指数をアンダーパフォームしている。株価の割安感が強まったと判断したことを投資判断を引き上げた理由に挙げている。新型コロナウイルス禍で、解約件数や新規成約など物件の運営状況を丁寧に捕捉しながら、引越自粛ムードからの変化を待ちたいとしている。(QUICK Market Eyes 山口正仁)
■JHR(8985)―堅調 10月の1室売上高59.2%減に改善、11月は50%程度で推移(11/26)
ホテル系REIT(不動産投資信託)のジャパン・ホテル・リート投資法人(8985)が堅調。25日発表した10月の月次動向で、RevPAR(1室当たりの売上高)は前年同月比59.2%減の5855円だった。9月(同63.4%減)から改善傾向にあり、買い安心感につながっているもよう。
稼働率は46.5%と、9月から7.8ポイント改善した。東京エリアの追加で政府の観光支援策「GoToトラベル」キャンペーンによる利用が増えたようだ。また11月の現時点で同50%程度のマイナスになるとの見通しを示し、改善傾向が続く見通しを示したことも買い安心感につながったようだ。(QUICK Market Eyes 弓ちあき)
■INV(8963)―売り先行 10月度の稼働率改善も、先行き不透明感を懸念(11/26)
ホテル・住居を中核資産とするREIT(不動産投資信託)のインヴィンシブル投資法人(8963)が売り先行。25日発表した10月の月次動向で、客室の稼働率(国内ホテル)は56.8%と、9月(47.6%)から改善。RevPAR(1室当たり売上高)も同48.6%減の4597円と、前月(同56.1%減)から改善した。ただ、好感する動きは限定的。新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が再び増加傾向にあることで政府の観光支援策「GoToトラベル」キャンペーンの見直しが進む可能性があるほか、INVは2020年12月期の分配金予想も未定としているため、先行き不透明感を警戒する向きが多いようだ。(QUICK Market Eyes 弓ちあき)
■REIT決算&開示情報
11/25 <決算>トーセイ・リート(3451) 増額修正 分配金(3,697円←3,520円 2020/10)
11/24 <決算>GLP (3281) 減額修正 分配金(2,525円←2,601円 2021/02)