米・南カリフォルニアで6日午後11時59分からロックダウン(都市封鎖)が導入される。集中治療室(ICU)の病床数が残り15%を切った地域に外出禁止令を出すことをニューサム知事が決めた。ロサンゼルスを含む州内最大の人口が居住する地域だ。サンフランシスコ周辺のベイエリア地域は空き病床率が21.2%だが、自主的に自宅待機措置の導入を決めた。ロサンゼルス・タイムズ紙によると、3300万人が規制の対象になる。廃業を決めたレストランオーナーのインタビューをローカルニュースが伝えていた。
カリフォルニア州の約4000キロ東にあるジョージア州でもコロナ感染が深刻だ。ニューヨーク・タイムズ紙のまとめでは、5日までの州内の感染者は48万人を超え、死者は約9500人。5日の新規感染者は4945人で2週間平均を32%上回った。死者は58%増、入院患者数は26%増加した。
全米の注目をジョージア州が集めている。コロナ感染者が急増したから、コロナ対応で重要な役割を担う疾病対策センター(CDC)が州都アトランタにあるからでもない。1月5日に実施される上院2議席の決選投票がアメリカの政治の方向を決めるからだ。
11月3日に実施された選挙では、ジョージア州の上院は2議席とも勝利に必要な50%の票を獲得した候補がいなかった。これまでに、上院(定員100)の50議席を共和党が獲得。独立系2議席を含め民主党は48議席となった。決選投票で共和党が少なくとも1議席を獲得すれば上院の過半数を維持し、民主党が制した下院との「ねじれ議会」の構図が決まる。一方、民主党が2議席とも獲得すると50に議席が増える。法案採決で同票(タイ)になった場合は、最後の1票が上院議長を兼ねるハリス次期副大統領に与えられる。つまり上下両院を民主党が制する「ブルーウェーブ」になる見通しだ。
ジョージア州は伝統的に共和党の州だ。しかし、今年の大統領選では民主党のバイデン氏が僅差ながら勝利した。1992年のビル・クリントン氏以来はじめてとなる。ジョージア州の現職は2人とも共和党だが、いずれも株不正取引をめぐるスキャンダルを抱えている。世論調査では2議席とも支持率が拮抗し、予断を許さない状況だ。
トランプ大統領は5日、ロフラー氏とバーデュー氏の2人の現職共和党議員を応援するためジョージア州バルドスタで異例の演説をした。2人を紹介し、不正選挙は許されないと強調した。ただ、演説内容ではなく、集結した熱狂的な支持者が誰1人マスクを着用せず、社会的距離を無視したことが注目された。
トランプ氏は先週、就任以降で最重要の演説だとしてフェイスブックに動画を投稿した。国家の危機ともいえるパンデミック(疾病の世界的流行)対策ではなく、選挙に不正があったとの従来の主張だけだった。5日の100分にわたる演説でも、不正投票の訴えにほとんどの時間を割いた。CNNはトランプ氏の投票をめぐる暴言が共和党を不利にしていると報じた。
6日夜、ジョージア州の現職のロフラー上院議員(共和党)とオソフ候補(民主党)のテレビ討論会が全国放送された。州外で放送されるのは異例中の異例。カリフォルニア州の人に投票権はないが、コロナ禍で移動の自由が制限された多くが視聴するのではないかと思う。ジョージア州の決選投票の結果で、バイデン次期大統領の増税を含む政策の行方が決まることを誰もが知っているからだ。
(このコラムは原則、毎週1回配信します)
Market Editors 松島 新(まつしま あらた)福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て2011年からマーケット・エディターズの編集長として米国ロサンゼルスを拠点に情報を発信