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金利上昇で銀行株は?広がる強気見通しと燻り続ける警戒感

記事公開日 2021/1/12 17:00 最終更新日 2021/3/24 21:52 日本株 米金利 銀行株 ブルーウエーブ 21年相場見通し QUICK Market Eyes

QUICK Market Eyes  大野弘貴】銀行株が上昇している。業種別東証株価指数(TOPIX)の銀行業は年初来で6.61%高(1月8日終値時点)と、TOPIXの同2.78%高を大幅にアウトパフォームした。連休明け12日も4日続伸し、前週末比0.61%高の128.06で引けた。背景にあるのは金利上昇だ。6日、米長期金利は10カ月ぶりに1%を上回った。米ジョージア州の上院決選投票で民主党候補がともに勝利し、バイデン次期大統領の下での追加経済対策期待が高まった。米金利上昇を受けて銀行の収益性が改善するとの見方も強まった。

※銀行株とTOPIXの相対チャート
※銀行株とTOPIXの相対チャート。(2020年始を100として指数化)

■「邦銀株にとって明るい1年になりそうだ」

野村証券は7日付リポートで日本の主要銀行セクターへの強気スタンスを継続し、地方銀行セクターについても強気スタンスを推奨した。主要銀行については新型コロナウイルスの影響低下に加え、米長期金利反転、欧米銀の還元再開に注目した。地銀については、政府・日銀等による各種政策が経費効率改善をもたらし、株価反転を支えると予想している。

JPモルガン証券も2021年は「邦銀株にとって明るい1年になりそうだ」と予想し、銀行セクターへの強気スタンスを維持した。また、邦銀株が回復に向かう「5つの理由」に(1)ワクチン接種の広がりと景気回復、(2)株主還元は緩やかに正常化へ、(3)業務範囲規制が緩和、銀行がデータビジネス等の新規業務をより自由に展開が可能に、(4)地銀の経費効率化を日銀がサポート、(5)地銀再編を後押しする政府サポートが導入される――を挙げた。

株価指数が大きく上昇する中、ワクチンの普及も追い風に、出遅れている銀行株の上昇を期待する声が聞かれる。2020年、TOPIXが4.84%上昇する一方、業種別TOPIX「銀行業」は21.67%下落していた。上昇余地は十分と言えるかもしれない。

それでも、銀行株の継続的な上昇に対する懐疑的な見方も根強い。

■銀行株の上昇は続くのか?

SMBC日興証券は7日付リポートで「今、わざわざ銀行株を選ばなくてもいいのでは」という意見を耳にする機会が多いと指摘した。以前は「米金利上昇→日米金利差拡大→円安→輸入物価を通じてCPI(消費者物価指数)上昇→日銀の金融政策変更期待」という経路があったが、足もとでは「日銀の金融政策が硬直的になったため、米金利と日本の銀行株の連動性も以前よりは低下している」と分析。また、「今回の米金利上昇に銀行以上に反応したのは生保やオリックスであった」ことからも、「トリプルブルー(米民主党が大統領選、上下両院の過半数議席を獲得)によって日本の銀行株も反発しているが、持続的に他セクターからの資金を呼び込むまでには至らないのでは」との見方が示されている。

これらを踏まえ、「今後、ワクチンの普及が鮮明になれば、米金利の先高観も踏まえて、日本の銀行株も再び上昇余地を得ると考えられるが、現段階ではトリプルブルーを織り込んだところでいったん小休止となると言えよう」との予想も示された。

ある地銀の市場業務担当者は「そもそもリーマン・ショック以降、数多くの金融規制を課せられた銀行株が、他のセクターを継続的にアウトパフォームするのは非常に難しい」と嘆く。「大きくなり過ぎた米大型テック企業が独禁法違反などで一時的に調査が入るのとは異なり、銀行は監督当局から継続的にかつ、今後は気候変動などでの対応も迫られる可能性がある。これだけのコストが収益への重荷になる銀行株が、右肩上がりで上昇しつづけるだろうか」。

新型コロナウイルスの感染が収束した場合、政府・日銀によるサポートがいつまで継続されるかといった懸念も浮上しかねない。

ワクチン普及に伴う経済正常化によりバリュー株高を期待する声が多く聞かれる。ただ、銀行株はその公共性がゆえに、上値の重い展開が続く可能性も考慮した方がいいかもしれない。

<金融用語>

リーマン・ショックとは

リーマン・ショックとは、2008年に米国の投資銀行大手リーマン・ブラザーズが負債総額6000億ドル超となる史上最大級の規模で倒産したことを契機として発生した世界的な金融・経済危機のこと。 2001年以降、米国政府が低所得者を対象とした高金利住宅ローン「サブプライムローン」の融資基準を緩和し、サブプライムローンを組み入れた証券化商品が多数発行され、投資家の購入も加熱化する証券バブルが発生していたが、地価の下落とともに2007年以降、借り手側のサブプライムローンの返済率が滞り始めると金融機関などが次々に損失を計上するサブプライムローン問題が表面化。 米国の金融機関のなかでもサブプライムローン関連のCDS(CreditDefaultSwapクレジット・デフォルトスワップ)の多額の損失を計上したリーマン・ブラザーズが米連邦破産法第11条の適用を申請し、2008年9月15日に倒産。さらに多くのCDSを扱い同じく経営危機にあった米保険会社大手AIGに対する連鎖倒産への懸念や、金融機関救済を巡る政府対応の混乱も市場の不信感をあおり、世界的な信用収縮株価暴落へと広がっていった。

著者名

QUICK Market Eyes 大野 弘貴


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