【日経QUICKニュース(NQN) 西野瑞希】外国為替市場で円売り・ドル買いが増え、2カ月半ぶりの1ドル=105円に近づいている。米シカゴの統計によればヘッジファンドの円の対ドルでの買い越し幅は徐々に縮小しており、彼らの円買い・ドル売り戦略は転換の兆しがみえる。ヘッジファンドの動きがこのまま加速すれば、円相場を一段と押し下げることも考えられる。
■投機筋のドル買い戻し
米商品先物取引委員会(CFTC)が1月29日に公表した、同26日時点の通貨先物の建玉状況(週間)によると、ヘッジファンドなど投機筋を示す「非商業部門」の対ドルでの円の買い越し幅は4万4992枚と前の週から縮小し、5万枚を割り込んだ。2週連続の縮小だった。2016年10月以来の高水準となった1月上旬をピークに「円買い・ドル売り」の持ち高が減っている。
1月21日に103円台前半まで買われた円は、その後下落に転じた。「投機筋のドル買い戻しが、円安に拍車をかけた可能性がある」(みずほ証券の山本雅文氏)とされ、1月29日の海外市場では一時104円94銭まで下落した。2月1日の東京市場でも104円台後半で取引された。
■ゲームストップ株の影響
ヘッジファンドが戦略転換に動いたきっかけの1つが、米国株式市場での個人投資家による米ゲーム専門店、ゲームストップ株への集中的な買いだ。ゲームストップ株を空売りしていたヘッジファンドは損失を被ったとみられ、それを穴埋めするために利が乗っている資産の売却に動いたとの見方がある。円買い・ドル売りの持ち高も反対売買による利益確定の動きが出たとみられ、それがCFTCの統計に表れてきた可能性がある。
みずほ証券の山本氏は「米景気の回復と米長期金利の上昇もあって、円は3月末には106円台に下落する」と読む。105円は通過点にすぎない可能性も出てきた。