【NQNニューヨーク=張間正義】ゲームストップ問題を巡り18日に開催された米下院金融サービス委員会の公聴会は出席者と議員の水掛け論に終始した。株式市場の混乱を招いた関係者を「悪者」とする政治的なショーの色彩が濃かった。ネット証券のロビンフッド・マーケッツが顧客の注文をマーケットメーカーに回送する仕組みがやり玉に挙げられ、ビジネスモデルを巡る不毛な応酬が目立った。
■「ヘッジファンドを守るためではない」
公聴会にはロビンフッドのブラッド・テネフ最高経営責任者(CEO)に加え、ロビンフッドの取引先であるマーケットメーカー(MM)を傘下に持つ米ヘッジファンドのシタデルのケン・グリフィン氏、交流サイト「レディット」を通じて個人投資家の集団的な買いを仕掛けたとされる著名投資家のキース・ギル氏らが出席した。
焦点の1つである買い注文の停止措置について、ロビンフッドのテネフ氏は「(空売りで損失を被った)ヘッジファンドを守るためではなかった」と強調した。外部からの圧力については重ねて否定し、一部議員が疑っていたシタデルからの要求はなかったと否定した。
テネフ氏は買い注文停止の理由として、売買急増と価格変動拡大に伴い、清算機関から求められる保証金が急増したためだと改めて主張した。もっとも、議員からの「注文を受け付けたまま保証金の問題は解決できなかったのか」「なぜ買い注文だけを停止したのか」などの質問には明確に回答しなかった。
■個人には見えなコスト
ロビンフッドは個人の注文をMMに回して受け取るリベートが収益源だ。個人の売買が増えればリベートも増え、MMも利ざやを得る仕組みについて質問が相次いだ。テネフ氏は「仕組みは合法」と強調し、個人の売買手数料を無料にできる手法として有用性を訴えた。シタデルのグリフィン氏も同調した。「この仕組みは米国の個人投資家にとって金融の歴史の中でこれまでにない(低い)執行コストを実現できた」と説明した。
もっとも、一部議員はこの仕組みに「個人にはみえないコストがある」との疑問を呈した。議員は、シタデルなどがロビンフッドからの注文に対して競合他社より「はるかに高い」リベートを払っている点を指摘した。こうした注文が通常の取引所で成立すれば、個人のコストは下がる可能性がある。一方、グリフィン氏はこの点に関しても「過剰な規制が取引所への注文を遠ざけている」とテネフ氏を擁護。取引所側に問題があるとの見解を示した。
公聴会が続く間、株式市場の値動きは総じて静かだった。ゲームストップは取引終了にかけ下げ幅を広げ、前日比11%安の40.69ドルで終えた。1月28日に付けた上場来高値より8割安い。激しい議論とは裏腹に市場は今回の問題は「もう終わったこと」とみなしている。
ロビンフッドの大株主は誰ですか?