【日経QUICKニュース(NQN) 鈴木孝太朗、岩本貴子】日米の株式市場で「SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)」を手掛ける銘柄が急落している。世界景気の影響を受けにくく、新型コロナウイルス禍でも成長できる銘柄として物色されてきたが、実態は赤字体質の企業も少なくない。金利先高観の台頭により、株価回復が見通しにくくなっている。
SaaS企業はインターネット上のクラウド経由でソフトウエアを提供する。買い切りではなく、月額課金のサブスクリプションモデルが多い。
■先行投資、割高・・・
国内では、クラウド会計ソフトのフリー(マザーズ、4478)や家計簿アプリのマネフォ(1部、3994)などがSaaS企業に位置付けられる。米国では顧客情報管理のセールスフォース・ドットコム(CRM)やソフトウエアのアドビ(ADBE)が代表銘柄で、いまや日常で使うことが珍しくなくなったオンライン会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)も含まれる。いずれもここ数年でみれば株価の上昇傾向が鮮明になっていた。
ただ、SaaS企業は開発費や広告宣伝費の「先行投資」で減益や赤字体質の企業が少なくない。人手不足や働き方改革など業務の効率化の流れで成長期待は高いものの、収益化は道半ばというケースが散見される。マネフォの2021年11月期の連結最終損益は12億~16億円程度の赤字だったとみられる。投資家は損益ではなく、顧客基盤の成長度合いを判断材料にしている。
6日の東京株式市場では経費精算ソフトのラクス(3923)が一時前日比460円(14.9%)安、名刺管理サービスのSansan(サンサン、4443)も一時6.3%安まで下げた。5日の米株式市場でもクラウド関連サービスのサービスナウ(NOW)が5.2%安で終えた。
関連銘柄の多くが成長段階で予想PER(株価収益率)100倍超も目立ち、金利上昇による成長(グロース)株売りの影響を受けやすい。ピクテ投信投資顧問の糸島孝俊ストラテジストは「実態と比べ株価が高いという現実を突きつけられた格好だ。投資家の人気はあっても回復には時間を要する」とみていた。
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<テーマ株>:SaaS関連株(日本)
■主なSaaS銘柄と下落率
▶日本 | |
ラクス(3923) | 8.9 |
マネフォ(3994) | 5.3 |
フリー(4478) | 5 |
Sansan(4443) | 4.7 |
サイボウズ(4776) | 4.7 |
▶米国 | |
セールスフォース・ドットコム(CRM) | 8.3 |
データドッグ(DDOG) | 7.8 |
アドビ(ADBE) | 7.1 |
ファストリー(FSLY) | 6.8 |
クラウドストライク・ホールディングス(CRWD) | 5.2 |
サービスナウ(NOW) | 5.2 |
ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM) | 2.8 |
(注)下落率は6日午前終値との前日比、米国株は5日終値の前日比。小数点以下第二位は四捨五入、単位は%。