【日経QUICKニュース(NQN) 北原佑樹】東京証券取引所を中心に証券会社が集まる日本橋兜町(東京・中央)。この春、目抜き通りの交差点の名称が「茅場町」から「兜町」に変わった。地元住民や「兜町の大家」と呼ばれる平和不動産(8803)の働きかけによって実現した。再開発が進む地域の名前を発信する狙いもあるようだ。
東京駅周辺のビジネス街である大手町から隅田川へ向かって延びる永代通りと平成通りが交わる交差点。3月30日未明、信号機に取り付ける、名称を示す表示板が「兜町」に掛け替えられた。周辺の町会が自治体などの関係当局に働きかけ、平和不も支援した。「兜町の名を交差点に」と求める声は古くからあったが、平和不による周辺の再開発が進むとともにその機運が高まった。
「ようやく街のイメージ通りの看板が付いた」。平和不の中村寛・地域共創部長はこう話す。証券関係者だけでなく、ビジネスパーソンの間では「東証=兜町」というイメージが強いため、茅場町では東証を想起しづらかったという。
兜町交差点の北西側の角にあり、2021年に完成したオフィスビル「KABUTO ONE(カブトワン)」の1階ロビーには、株価指数を表示する箱状の大型ディスプレーが設置されている。株式相場が大きく動いたときには「兜町交差点の看板とともに株式市況を示す映像が重ねられる」(中村氏)といい、株の街のイメージのさらなる浸透を狙う。
4月には東証が約60年ぶりに大規模な市場再編を実施し、プライム、スタンダード、グロースの3市場に移行した。東京に世界の金融ハブをつくる国際金融都市構想の実現に向けて、兜町が持つポテンシャルへの期待は高まるばかりだ。