QUICK企業価値研究所アナリスト 小西慶祐(2022/08/02)
・原材料価格高騰などで1Qの収益性が想定を下回る
23/3期通期の連結営業利益計画について会社側は、期初の2500億円(前期比1%増)を据え置いた。企業価値研究所も、会社計画を若干上回る営業利益予想2600億円(同5%増)を維持する。2Q以降の為替レートの前提を1ドル=125円→135円と円安方向へ見直し、売上高予想を10兆3000億円→10兆4000億円(同23%増)へ増額したが、原材料価格高騰などコスト増により1Qの収益性が想定を下回ったため、営業利益は従来予想を据え置くこととした。今後は、中国上海のロックダウン解除や、半導体不足解消後の収益力の回復動向に注目したい。
・質重視の販売戦略の継続が引き続き焦点とみる
24/3期以降も、売上高を増額する一方、従来の営業利益予想を維持する。半導体不足解消後、質重視の販売戦略を継続できるか否かが焦点との見方に変更はない。ルノー・日産・三菱アライアンスでは、26年にプラットフォームの共用化率を現状の60%から80%以上まで高める一方、各車種に適した共用化の度合いを定める新たな手法を取り入れる。ブランドごとに差別化を図っていけるのかにも注目したい。技術面では、全固体電池の開発動向も要注目と考えている。
・リスクファクター ~半導体不足、原材料、為替など
・アナリストの投資判断 ~株価上昇には値上げによる収益性改善が必須とみる
直近の株価に基づく、23/3期の予想PERは11倍。同社の過去60カ月(多額の一過性費用を計上した20/3期と21/3期を除く)の平均PER9倍との比較では、やや割高感がある。従って当面は、上値の重い展開が続くとの見方を継続する。株価上昇には、原材料価格高騰に対応した値上げの実施による収益性の改善が必要と考えている。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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