QUICK企業価値研究所アナリスト 山藤秀明(2022/08/04)
・低料金プラン影響あるが1Qは1%の小幅営業減益
23/3期1Qの営業利益は前年同期比1%減の2969億円になった。低料金プラン導入の影響を法人向け事業や個人向けの非通信事業の拡大で吸収した。
企業価値研究所は今23/3期の営業利益は前期比4%増の1兆1070億円、来24/3期の同利益は同3%増の1兆1370億円とした従来予想を据え置く。緩やかながらも最高益更新が続こう。低料金プランの影響で個人向けの通信単価低下は続く見込み。一方でコンテンツ配信、決済・金融などの付加価値サービスの顧客単価は上昇しよう。法人向け事業は5G(第5世代移動通信)技術の応用拡大、情報サービス分野の成長が続く見込み。携帯電話の解約率は上昇傾向であり注視したい。
・新中期経営戦略では非通信事業強化
今年5月、25/3期までの新中期経営戦略を公表した。5Gを核に事業変革を進める。全体では非通信事業の強化を進める内容。株主還元方針として「配当性向40%超」、「機動的な自己株式取得」をあげた。今後3年間で1兆5000億円規模の株主還元を計画している。
・リスクファクター ~料金値下げ、解約率上昇
・アナリストの投資判断 ~「株価指標割高で上値重い展開見込む」との判断継続
株価は15年以降、3000円を挟んでほぼ上下500円の値幅のなかで推移してきたが、20年秋以降は上昇基調。今年に入り上げ足を速めて5月後半には上場来高値(4636円)を付けた。新型コロナ禍での業績の安定性、増配や自己株式取得による積極的な株主還元が評価されたようだ。当研究所では緩やかな増益を予想。会社側は今期も増配を計画。ただ、株価上昇で主要株価指標は過去5年平均と比べて割高。「当面の株価は上値の重い展開になる」との前回判断を継続する。足元の株価は7月の大規模通信障害を嫌気して下落。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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