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帝人(3401) 自動車生産の回復遅れなどを勘案し、今期の営業利益予想を小幅減額

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2022/08/19)

・マテリアルは回復を見込むが、従来予想を下回る
 23/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高9850億円→1兆100億円(前期比9%増)、営業利益490億円→470億円(同6%増)へ修正する。従来、この期はヘルスケア部門が主力薬「フェブリク」の特許切れで落ち込むが、マテリアル、繊維・製品の両部門がアラミド繊維や自動車関連製品の出荷増と一過性のマイナス要因の反動で前期の落ち込みから回復し、連結全体で増収、増益になるとみていた。見方に大きな変更はないが、想定以上の円安・原燃料高や自動車生産の回復の遅れなどを勘案し、マテリアル部門を中心に営業利益の見通しを小幅引き下げた。続く24/3期以降は先行費用負担が重いが、主要製品の出荷増加でマテリアル部門を中心に業績は拡大に向かおう。

・1Qは主要部門がいずれも減益・赤字転落
 23/3期1Qの連結営業利益は、前年同期比38%減の108億円。マテリアル部門が原燃料高などの影響で赤字となったほか、ヘルスケア、繊維・製品など主要部門がいずれも苦戦し、連結全体で大幅な減益を余儀なくされた。

・リスクファクター ~自動車生産の回復の遅れなど

・アナリストの投資判断 ~業績拡大を追い風に、株価は徐々に上昇へ
 原燃料市況上昇による採算悪化や半導体・部材不足による自動車減産などが嫌気され、同社の株価は21年春から22年3月にかけて下落。その後値を戻しつつあるが、直近でも当研究所の今期予想連結PERで約10倍と、同社の過去の平均的な水準を下回る。世界的なマクロ経済の鈍化などで事業環境には不透明感が強いうえ、ヘルスケア部門は主力薬の特許切れで当面は厳しい状況が続くが、マテリアル部門を中心に今後の業績は着実に拡大する見通しだ。このため、過去の平均並みとなる11倍程度の評価は可能であり、株価は徐々に上昇に向かうと考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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