【QUICK Money World 辰巳 華世】銀行株に注目が集まっています。個人投資家にとって銀行は実生活でも身近な存在ではないでしょうか。今回はそんな馴染みがある銀行株について、その特徴や株価が上がる理由・下がる理由、今後の銀行株の見通しなどを紹介します。
■銀行株とは
銀行株とは、内需株の一つで銀行業を営む企業の株式のことです。銀行株は生活に身近な銘柄なので分かりやすく、高配当の銘柄が多いこともあり個人投資家から人気があります。
銀行株には、都市銀行や地方銀行、信託銀行やネット銀行などがあります。ニュースなどで「メガバンク」という言葉を聞くことがあると思いますが、メガバンクとは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、みずほフィナンシャルグループ(8411)の大手3つを指しています。
■銀行株の特徴
銀行株の特徴として、高配当、業績が安定している、景気に左右されやすいなどがあります。一つずつ見てみましょう。
・配当利回りが高い
銀行株の特徴の一つは、配当利回りが高い銘柄が多いことです。2023年7月時点で、三菱UFJ、三井住友、みずほのメガバンクの配当利回りは4%前後と高水準で推移しています。
・業績が比較的安定している
銀行株は業績が比較的安定しやすいのも特徴です。銀行は、成熟した企業が多く、すでにビジネスモデルや収益構造が確立されています。大きな成長の可能性があるというよりは、比較的安定した業績を保つ傾向があります。
・株価が景気動向に左右される
銀行の株価は、世界経済や景気動向の影響を受けやすいです。世界的に景気減速の懸念などが広がると銀行の株価は下落します。逆に景気が良くなると銀行株の株価は上昇します。
景気動向によって業績が変動する銘柄を「景気敏感株」と呼びます。「シクリカル株」、「景気循環株」と呼ぶこともあります。次の章では、景気敏感株について見てみましょう。
■景気敏感株とは?
景気敏感株とは、景気変動の影響をダイレクトに受けやすい銘柄のことです。景気が良い時には物が売れるため、業績は改善します。旺盛な需要に対応するため、多くの素材や材料が必要になり、企業も設備投資を積極的にします。一方で、不況になると物が売れなくなるため、企業は生産量や仕入れの調整など在庫調整をし生産が落ち込みます。景気動向によって、受注が変動し業績が影響を受けやすいのが景気敏感株です。
具体的には、半導体、化学、鉄鋼、紙パルプなどの素材産業や設備投資関連の業種、銀行や証券といった金融株などです。
景気敏感株は、短期間で株価が動きやすい傾向があります。景気回復への期待が高まり始めると、相場全体の流れが大きく変わり力強い株価上昇に繋がることがあります。景気敏感株のメリットとして、そういった流れにうまく乗れた場合には、景気敏感株で大きなキャピタルゲイン(売却益)を得ることができます。一方で、景気敏感株は値動きが激しく、景気後退が意識され相場環境が変わった場合には、大きく下落することもありますので注意が必要です。
■銀行株が上がる理由
銀行株など金融株は、景気敏感株の一つと言え、景気が良いと株価が上昇する傾向があります。好景気時に銀行株が上昇する理由の1つは、資金需要が旺盛になることです。銀行は企業に融資をする業務をしているので、景気回復による企業活動が活発になると貸し出し需要も増加し銀行の業績が改善します。もう1つの理由は金利上昇による好影響です。景気回復を受けて金利が上昇すると、貸し出し金利も上昇し金利収入が増えます。
■銀行株が下がる理由
銀行株は、景気の影響を受けやすいです。景気後退により、企業活動が停滞すると、貸し出し需要が減り銀行の業績も影響を受けます。景気悪化で金利が低下すると、貸し出し金利も低下するので収益性が低下します。また、世界的な金融不安などが広がった時も大きく影響を受けます。
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■銀行株の代表的な銘柄
銀行株には、都市銀行、地方銀行、信託銀行、ネット銀行などいくつか種類があります。都市銀行の中で、三菱UFJ、三井住友、みずほの3つを「メガバンク」と呼びます。以下は、銀行業種の時価総額上位銘柄のランキングです。
No. | 証券コード | 銘柄名 | 市場 | 業種 | 時価総額 |
1 | 8306 | 三菱UFJ | 東証プライム | 銀行業 | 13兆6900億円 |
2 | 8316 | 三井住友 | 東証プライム | 銀行業 | 8兆5013億円 |
3 | 8411 | みずほ | 東証プライム | 銀行業 | 5兆7640億円 |
4 | 7182 | ゆうちょ | 東証プライム | 銀行業 | 4兆1294億円 |
5 | 8309 | 三住トラスト | 東証プライム | 銀行業 | 1兆9286億円 |
6 | 8308 | りそなHD | 東証プライム | 銀行業 | 1兆6691億円 |
7 | 8331 | 千葉銀 | 東証プライム | 銀行業 | 7612億円 |
■銀行株の見通し(2023年時点)
銀行株は、景気や金利動向の影響を受けやすいです。今後の銀行株は、景気回復や日銀の金融政策変更など注目される材料が多くあります。
日銀は2022年12月、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)で長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.25%程度から同0.50%に拡大することを決めました。それを受け、銀行株の株価は大幅に上昇しました。23年4月、10年ぶりに日銀総裁が交代し、植田和男新総裁のもとで今後マイナス金利政策の解除に動く可能性に注目が集まっています。仮にマイナス金利が解除されれば、貸し出し金利が上昇し銀行の収益が改善することが期待されています。
■まとめ
銀行株とは、内需株の一つで銀行業を営む株式のことです。銀行株の特徴として、高配当、業績が安定している、景気に左右されやすいなどがあります。日銀の金融政策変更など銀行株に影響を与える材料が注目を集めています。
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