2024年1月から新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まった。QUICK資産運用研究所が実施した「個人の資産形成に関する意識調査」では、制度開始を間近に控えた23年11月下旬~12月上旬時点での利用意向やその理由、投資したい金融商品などについて質問した。
今回調査の回答者は5075人。新しいNISAを利用しようと思うか聞いたところ、「利用する」「利用する方向で検討している」の合計は37.1%だった。一方、「利用しない」は32.7%、「わからない」は30.2%にのぼり、利用に後ろ向き、または慎重な人の合計が6割超の多数派を占めた。
23年に従来のNISAを利用している人に対象を絞って集計すると、新しいNISAの利用に前向きな答え(「利用する」「利用する方向で検討している」の合計)は一般NISAの利用者で82.5%、つみたてNISAの利用者で80.0%を占め、ともに8割を超えた。23年にNISAを利用していなかった人(3188人)については、このうち17.3%(550人)が前向きな答えだった。
今回調査した5075人のうち、23年に従来のNISA(一般・つみたて・ジュニア)を利用している人は1628人(全体の32.1%)だった。これに対し、新しいNISAの利用に前向きな人数は、23年に利用していない人や利用しているかわからない人も含めて1882人(同37.1%)にのぼる。この結果をもとに単純計算すると、新しいNISAでは利用者数が少なくとも15%ほど増えると見込まれる。
新しいNISAの利用目的では、「資産形成・資産運用のため」(69.2%)が最も多い。2位は「老後・将来の生活資金をためるため」(47.9%)、3位は「配当金・分配金を非課税で得るため」(35.2%)だった。
新しいNISAを利用する理由について聞いたところ、「非課税保有期間が無期限化されたから」が68.7%で断トツだった。これまで一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間の保有期限があったが、新しいNISAではこの期限がなくなる。利用に前向きな人たちは、手続きなしで何年でも利用し続けられるようになるメリットが大きいと感じているようだ。資産を長期保有すれば、複利効果を得やすくなる。
一方、新しいNISAを「利用しない」「わからない」と回答した人の理由では、「NISAのしくみが複雑でよくわからないから」(37.4%)、「投資自体に関心がないから」(24.0%)、「NISAの始め方がよくわからないから」(20.5%)などが挙がった。NISAのしくみの周知徹底と、投資や資産形成への関心喚起が今後の課題となりそうだ。
=④に続く
QUICK資産運用研究所が2023年11月下旬~12月上旬に実施した「個人の資産形成に関する意識調査」の集計結果は、「QUICK Money World」で順次配信していく。調査概要などは以下のとおり。 <調査概要> ◇本調査における金融商品の区分 定期性預貯金(財形など社内預貯金を含む)/外貨預金/国内株式/外国株式/個人向け国債/仕組み債(EB債、株価指数リンク債など)/その他債券/投資信託(ETF、ETN、REIT、商品ファンド含む)/ラップ口座(ファンドラップ、SMAなど)/投資一任型のロボアドバイザー/個人年金保険(円建て)※公的年金、企業年金は除く/個人年金保険(外貨建て)/定期保険・養老保険(円建て)/定期保険・養老保険(外貨建て)/終身保険(円建て)/終身保険(外貨建て)/外国為替証拠金(FX)取引、差金決済(CFD)取引/先物・オプション商品、カバードワラント/暗号資産(仮想通貨:ビットコインなど)/金などの貴金属投資/その他 |